農作業の事故を疑似体験できるVR
オンエアレポート
今回、注目するのはこちらです。2024.02.22
「農作業の事故を疑似体験できるVR」
今回のイノベーターは、JA共済連の山﨑勝也さんです。
「農作業事故体験VR」とは、何なのでしょうか?
「農作業事故の未然防止を目的にVR技術を使い、農作業をしている人の視点から
農作業中の事故を疑似体験できる学習プログラムです」
「重大事故に繋がりやすい農業機械の事故中心に、VR動画で事故を“自分ごと化”していただき、
安全対策の重要性を伝えるものです」
「開発にあたっては、農研機構様の監修のもと開発し、
2020年から全国のJAや自治体の主催する農作業安全研修や農機展示会などのイベントで活用を開始しています」
このプログラムでは、頭から被るヘッドセット型のVRゴーグルを使用。
映像はもちろん、音もVRゴーグルの耳元から流れるため、
体験者は農作業事故を、より没入感をもって疑似体験することができるということです。
農作業事故のどのような状況を体験できるのでしょうか?
「たとえば、事故件数の多い“トラクターの横転事故体験動画”では、
細い道を対向車とすれ違う場面で、体験者はトラクター運転手の目線の動画が再生されます。
道幅ギリギリまでトラクターを寄せるのですが、脱輪して横転してしまう事故を体験できます」
「その後、どうして事故が起きてしまったのか、どうすれば回避できたのかを
VRを活用した様々な視点で学習することができます」
「その他、刈払機や耕うん機、脚立など、
全部で8種類の農機・用具に起因する事故を体験・学習する動画をご用意しています」
どのような思いがあって、このVRを開発したのでしょうか?
「農作業事故の現状について、農林水産省の報告書によると、
毎年、約300人の方が農作業中の事故により命を落としています」
「また、JA共済連が実施した共済金支払データを活用した分析では、
年間約7万件、1日約200件の農作業事故が発生していると推測しています」
「農業者が安心して農業を続けることができるように、少しでも事故を減らしていかなければならないという思いから、
もっと農作業の安全に関心を持ってもらえるようなコンテンツが作れないかと考え、開発しました」
このVR、今後はどのような展開を考えていますか?
「さらに多くの方に体験いただき、少しでも農作業事故の減少に貢献したいと考えます。
そのためには、安全研修を主催する団体の皆さまにVRを知っていただく必要があるため、
PR活動をより強化していきます」
「また、去年から、将来の農業を担う農業高校や農業大学校の生徒さんに向けて、
ご活用いただけるよう、力を入れています」
このVRを体験済みの川瀬さんは、このように話していました。
「農作業事故の怖さを実感するだけでなく、事故の回避方法も学ぶことができました」。
多くの農家さんがこのVRで体験・学習することで、農作業事故が減っていくことを祈っています。