トラクターに取り付けると田んぼや畑が速く耕せる機械
オンエアレポート
今回、注目するのはこちらです。2024.01.18
「トラクターに取り付けると田んぼや畑が速く耕せる機械」
今回のイノベーターは、農業機械メーカー「三菱マヒンドラ農機」の前田篤志さんです。
三菱マヒンドラ農機が開発した機械の名前は「KUSANAGI」。
田んぼや畑の土を従来の4倍以上の作業速度で耕すことができる作業機です。
なぜ、速く耕せるのでしょうか?
「KUSANAGIは鋭いお皿のような形をした刃が前後に9枚ずつ付いていて、
土を持ち上げるために、走っていく方向に対して、少し角度をつけています。
トラクターがスピードを出して走ることで、このお皿が土に食い込み、土をすくい上げ、
後ろについているギザギザ型のローラーも使いながら土を砕いて、圃場を耕していきます」
「今までのロータリーは、エンジンの力で刃を回転させるので、
早く走ってしまうと、走る速度に刃の回転が間に合わなくなってしまいます」
「一方、KUSANAGIは早く走ることで、お皿型の刃が土をすくい上げる仕組みなので、
むしろ、作業速度を上げることにより、より砕土(=土の塊を細かく砕くこと)性能が向上します。
早く走れば走るほど、パフォーマンスが上がるという不思議な機械というわけです」
どのような思いがあって、この機械を開発したのでしょうか?
「“トルコのグループ会社の同様の機械”を実演しているとき、
いろいろな農家さんに『我が家のトラクターでも曳ける機械があったらいいな』という声をいただきました」
「また、“トルコのグループ会社の同様の機械”を使いたいので大型トラクターを購入したいが、
簡単に決断はできない、ということを教えていただきました」
「その理由として、大型トラクターは非常に高価であること、機体が大きいので道路の移動が困難であること、
圃場が小さいので大型トラクターは取り回しが大変なことなどを教えていただきました。
『その声を形にしたい』との一心で、KUSANAGIの開発に全力を注ぎました」
「私たちは、農家さんは時間に追われていることを知っています。
収穫後に圃場を耕耘する作業に時間を割くことができない場合があることも理解しています。
そこで、時間をかけずに有機物をいかに早く還元させるかを追求した結果、このKUSANAGIにたどり着きました」
この機械を使った農家さんは、どのような感想を話しているのでしょうか?
「『安定しない天候の中、限られた時間でいかに効率を考えるか』という課題解決ツールとして喜ばれています」
時間に追われている農家さんの救世主とも言える、この機械。
多くの農家さんが使うようになれば、作業の効率化が進み、日本の農業は変わっていくのかもしれません。