環境への負荷を抑えながら、美味しいイチゴを生産するプロジェクト
オンエアレポート
今回、注目するのは、コチラ。2022.06.30
「環境への負荷を抑えながら、美味しいイチゴを生産するプロジェクト」
プロジェクトの名前は「The Good Green Farms」。
どのように環境の負荷を抑え、なおかつ、美味しいイチゴを作るのでしょうか?
今回のイノベーターは、三重県伊賀市にある、
遊士屋株式会社の代表、宮澤大樹さんです。
なぜ、このようなプロジェクトを立ち上げたのでしょうか?
「今後、世界的な水不足が加速していくと言われています。
それによって農業に適した土地が減ってしまいます。
また、農業に適した季節というのも短くなって、リスクが大きくなっていくと予想されています。
このような気候変動から“美味しさを守る”ために立ち上げました」
“美味しさを守るため”に立ち上がった、このプロジェクト。
現時点ではイチゴを生産する際の水の量が
従来の栽培方法の大体10分の1以下に抑えられていて、
土壌とか地下水に汚染の原因になっている農業排水もゼロ。
土や鉱石などの土壌資源もほとんどしていないのだと言います。
では、どのように環境の負荷を抑え、なおかつ、美味しいイチゴを作るのでしょうか?
「特殊な浸透膜(丁寧に編み込まれた布のようなもの)を使って、
植物を育てるんですね。
この浸透膜にイチゴを植えて、栽培しています」
イチゴの根が“土の中”ではなく、この“浸透膜”の中を張っていくということです。
「水が浸透膜の穴を通り過ぎる際に、
“水の分子”と“気化した状態の分子”であれば、
“気化した状態の分子”の方が小さいんですね。
この浸透膜を通すことで“気化水分”と言われる、湿度で満たされた空間で
植物を育てることで、
通常、土で育てる時には発達しない“気根”という湿度を吸収できる根が
生えるようになるんです」
この“気根”の機能性の高さも、環境への負荷を抑えるポイントの一つだ。
「根のまわりに微細な毛細根として生えてくるので、
表面積が上がって、気化された少量の水分を効率よく吸収してくれるという
メカニズムです」
これが、水の使用を飛躍的に抑える仕組みなのだと言います。
この特殊な栽培方法で生産したイチゴ。
今後1~2年の間に多くの人が手に取れるようになると、お話しされていた宮澤さん。
今後については
「気候変動の時代にイチゴも含めて、“美味しさ”を守っていきたいなと思っています」
と展望を語ってくれました。
環境の負荷を抑えるため、特殊な栽培方法で生産したイチゴ、
一体、どのような味なのでしょうか。
近い将来、手に取って、その味を確かめるのが楽しみです。