干し芋を作るときに出る“サツマイモの皮”の新たな活用法
オンエアレポート
今回は、こちらに注目します。2023.12.07
「干し芋を作るときに出る“サツマイモの皮”の新たな活用法」
今回のイノベーターは、
茨城県ひたちなか市で、干し芋を製造・販売している「永井農芸センター」の永井桂一さんです。
干し芋を作るときに出る「サツマイモの皮」、こちらをなぜ活用しようと思ったのでしょうか?
「干し芋の生産過程で出るサツマイモの皮などの部分などをこれまで『残さ』と呼んでいますが、
そもそも、その呼び名が適切ではありません。
『残さ』と言うと、汚れたイメージを抱かれやすいですが、実は大半がサツマイモの身の部分を含んだ皮の部分です。
このため、これを私たちは『干し芋皮』あるいは『未利用部分』と呼んでいます」
「皮は食物繊維などの栄養が豊富で食べられるのですが、
干し芋の生産過程では傷みやすく、悪臭なども発生するので、これまではほとんどが農地に還元したり、
産業廃棄物として処分したり、生産者の大きな費用負担にもなっていました」
「こうした状況を受け、生産者自ら、問題解決の方法を検討しました。
これまでは『いかにコストをかけずに処分するか』という考えでしたが、
環境負荷の低減(食品ロスの低減)や資源の有効利用などSDGs的な考えも取り入れ、
負の副産物から価値ある産物へ転換する「アップサイクル」による利活用を考えました」
干し芋皮
永井農芸センターでは、1日当たり500~800キロ出ているという「干し芋皮」。
どのような活用法を考えたのでしょうか?
「干し芋皮の活用は、いかに手間暇をかけずに乾燥して安定化させるかがポイントで、
その方法として『果物の皮などの残さを乾燥処分するドラムドライヤー型乾燥機』を活用して、
短時間で大量の干し芋皮をフレーク状に乾燥処理できることを実証しました」
「このフレークは、そのまま食べてもサツマイモの凝縮された甘みが味わえるのですが、
一定期間は日持ちするため、さらに粉砕して粉状にすることによって、加工品の素材に使うこともできます」
「このフレーク状に加工した新たな食材を『ほしいもピール』と名付けました」
「また、この『ほしいもピール』を使い、パウンドケーキなどの商品開発を進めており、一部販売を開始しています」
「ほしいもピール」(フレーク状)
『ほしいもピール』の活用法、今後はどのような展開を考えていますか?
「『ほしいもピール』が食材として活用できることを世間に知っていただくためにPR活動を行い、
一般消費者のみならず、大手食品メーカーさんなどに使っていただけるよう、認知度を高めていきたいです」
「また、『ほしいもピール』を海外へ輸出し、
世界の国々で食材として使っていただけるようなことにチャレンジしたいと思っています」
「ほしいもピール」で作ったパウンドケーキ
「干し芋皮」を活用して作られた『ほしいもピール』。
今後、多くの消費者や食品メーカーが使用するような商品になることを期待しています。