大学生が部活の合宿の合間に農作業をする『アグリキャンプ』
オンエアレポート
今回、注目するのはこちらです。2023.11.09
「大学生が部活の合宿の合間に農作業をする『アグリキャンプ』」
今回のイノベーターは、「JA全農山形」営農支援課の佐藤大輔さんです。
「アグリキャンプ」は、どのような取り組みなのでしょうか?
「大学生の部活や企業のスポーツチームの合宿期間中、労働の対価が発生する農作業に従事できる取り組みです。
JA全農山形と山形県、JTBの3者が3月に連携協定を結んで取り組んでいる事業の一環です」
どのような思いがあって、このような取り組みを始めたのでしょう?
「新規就農者の増加や山形県のファン拡大という将来的な展望に向けて、
大学生や企業のスポーツチームを編成する現役世代のような若い年代の方に参加いただくことが
重要であるという思いがありました」
農作業の従事者として、学生の部活や企業のスポーツチームに注目したのは、なぜなのでしょう?
「農業労働力を募るうえで、山形県内の労働者だけでは限界があり、
いずれ県外からの多様な労働者を募る対応が必須となることは明らかでした」
「しかし、県外から農業参加をしていただくためには、
旅費を誰がどのように負担するかという点が最大の課題でありました」
「いかに県外から継続して農業参加いただけるかと考えた際に、もともと山形県に訪れる方に、
ついでに農業参加をしていただくことから始めるのが最善の道と考えたことがきっかけです。
その対象として合宿参加者という発想が生まれました」
初めての「アグリキャンプ」は今年9月。
このときは、どのような学生がどのような農作業を行ったのでしょうか?
「9月9~10日、初めてのアグリキャンプが山形県村山市で行われました。
参加したのは、秋田県立大学男子バレー部の1~4年生や関係者など13人と、
山形大学医学部ワンダーフォーゲル部の部員9人です」
「秋田県立大学男子バレー部は9月9日~10日までの2日間、
山形県寒河江市に宿泊して合宿を行っており、練習の合間に村山市内の野菜や花の圃場で農作業に取り組みました。
山形県村山市のストック(花)の圃場では、
練習前の空き時間を利用し、コーチと4年生3人が間引き作業を実施しました」
参加した学生と、学生を受け入れた農家さんは、それぞれ、どのような感想を話していますか?
「参加した学生は『普段できない経験ができた。もっと広まってほしい』と話し、期待を寄せています。
学生を受け入れた農家さんは『暑いハウスの中でも元気よく楽しそうに働いてくれて、こちらも活力をもらった。
毎年、来てほしいくらいありがたい』と話しています」
「農家さんにとっては人手不足の解消につながり、
学生にとっては農作業の対価で合宿費用や活動費の工面ができるなど、
双方にメリットが生まれる仕組みだと感じています」
佐藤さん、今後の展開としては「アグリキャンプ」の“発展形”も考えているとお話しされていました。
「今年度は隣県からの参加でしたが、今後は首都圏をはじめとした遠方からの参加を促していきたいと思います」
「“第2のアグリキャンプ”として、
農作業の従事を目的としたキャンパーの受け入れ体制を整えていきたいと考えています」
「テントを張って野営するキャンパーにとって、
さくらんぼの雨除けテントの下でキャンプをすることは非常に合理的であり、
生産者にとっても防犯対策になるなどのメリットがあるウィンウィンの関係に成り得ることが分かりました」
「今後、新たなアグリキャンプの在り方を模索し、普及の可能性について検証していきたいと思います」
山形県で始まった「アグリキャンプ」。
今後は山形県だけでなく、他の地域にも広がっていってほしいと思いました。