農業体験で子どもの居場所づくりをする いとっ子ウエーブ
オンエアレポート
今回は、こちらに注目します。2023.11.02
「農業体験で子どもの居場所づくりをする いとっ子ウエーブ」
今回のイノベーターは、「学校と地域をつなぐコーディネーター」の中尾雅幸さんです。
「いとっ子ウエーブ」は、どのような活動なのでしょうか?
「福岡県糸島市で、高校生が主体的に企画する地域の居場所づくりというコンセプトでスタートしました。
当初は、高校生が遊びを企画し、小中学生やその保護者さんが参加する場でした」
「活動3年目からは、遊び場にプラスして、参加者同士の交流を通じて、
参加者それぞれの未来を描く場として変わってきています。今年が6年目です」
どのような思いがあって、始めたのでしょうか?
「福岡県糸島市は全国的に注目され、九州でも移住者が多い自治体です。
しかし、糸島市で生まれ育った子どもたちは、糸島の素晴らしさを知らないまま、糸島市を離れてしまいます」
「一方、中高生の時に地域との関わりが多いと、糸島を離れたとしても、
いつまでも、糸島の応援団として活動していただき、いつかはUターンして糸島のために貢献していただけます」
「未来の糸島の担い手は、糸島で生まれ育った方が中心になるべきだと考え、
地域との関わりを高校生に持ってほしいとの思いから、この活動を開始しました」
子どもの居場所をつくる方法として“農業体験”に注目した理由は何なのでしょう?
「高校生と大人が一緒に行った企画会議の中で、
糸島農業高校から『自分たちの得意分野で貢献したい』という意見が出ました」
「最初は、プランターで野菜の植え付けや花の寄せ植えを行いましたが、
去年から居場所の隣接地に畑を借りることができ、農業を開始しました」
「去年は、じゃがいもとだいこん、コスモス。
今年は、さつまいも、ヒマワリ、とうもろこし、すいか、にんじん、かぶ、しそ、バジルなどを栽培しました」
この活動、糸島市にはどのような変化をもたらしていると感じていますか?
「高校生たちは主体的に取り組みを行うことで、自分たちが学んでいることや日々の活動に誇りを持つことができ、
市民の皆さんは農業高校の学びの素晴らしさを感じることができています」
中尾さんは、どのようなことを感じていますか?
「高校生の中には、卒業後も地元に残り、活躍している方々もいます。
また、卒業後に進学や就職で一度は糸島を離れても、
いつかは、糸島に戻って来たいと思っている方々も多いのですが、仕事の面などの壁があり、
今のままでは実現は難しいのではないかと思っています」
「そこで、20代、30代でUターンして、
農業や糸島の産業を支えていく方々を支援する仕組みを作っていきたいと感じています」
中尾さん、この活動によって、
糸島そして農業の担い手を増やすための「ウエーブ」が巻き起こることを期待しています。