砂糖の原料“てん菜”の新たな活用方法
オンエアレポート
今回は、こちらに注目します。2023.09.21
「砂糖の原料“てん菜”の新たな活用方法」
今回のイノベーターは、北海道「JA士幌町」の仲野貴之さんです。
仲野さんによると、「てん菜」は、ヒユ科に分類されるホウレンソウの仲間で、
カブのような形をしており、砂糖の原料として品種改良されたもの。
えぐみがあり、土くさいため、そのままでは食べることは難しい野菜だということです。
人口減少や健康志向などによって、国内の砂糖の消費量が年々減少していることから、
「てん菜」の新たな活用方法を探しているといいます。
新たな活用法、どのようなことを考えているのでしょう?
「てん菜を全て砂糖にできないのであれば、不足している牛の飼料として活用しようと考えています」
「飼料の輸入価格高騰と砂糖の消費減少は、しばらく続く見込みなので、
これらを同時に解決できる方法として取り組んでおります」
飼料(エサ)として活用するために、「てん菜」をどのように加工するのでしょうか?
「葉っぱや土が付いたままだと、牛の健康面への心配があるので、
葉っぱは収穫前に切り取って、後から緑肥としてすき込み、
掘り出した根っこは工場で土を洗ってから細かく刻んで発酵させ、
“サイレージ”という保存のきく、漬け物のような状態にしてから牛に与えます」
牛に食べさせる状態のてん菜
「てん菜」は、牛のエサとして定着していくのでしょうか?
「砂糖用のてん菜は国の交付金などの支援によって、農家の収入が、ある程度、保証されています。
しかし、飼料にすると、支援の対象外になるため、
てん菜農家の収入を維持できる価格で、てん菜が売れることが定着の条件になります」
定着させていくためには、現状、どのような課題があるのでしょう?
「糖分が高い、てん菜だけを牛に与えると、栄養の偏りが出て、体調を崩してしまいますので、
牧草やコーンなどもバランスよく与える必要があります」
「ただ、それらのベストなバランスは国内でほとんど研究されていないので、
飼料としての販売価格と合わせて、今後の大きな課題になると思います」
また、仲野さんによると、
牛のエサとして活用する以外にも、「航空用燃料」として活用しようという動きもあるということです。
現状、まだまだ課題が多い、「てん菜」の新たな活用方法。
仲野さん、まずは、牛のエサとして定着するよう、試行錯誤を重ねていってください。