ドローンがトマトの受粉を行うシステム
オンエアレポート
今回、注目するのはこちらです。2023.09.14
「ドローンがトマトの受粉を行うシステム」
今回のイノベーターは、日本工業大学の平栗健史教授です。
ドローンを使って、トマトの受粉をしようと思った理由は、何なのでしょう?
「トマトは自家受粉で一般的にはハチが用いられるのですが、
夏場の高温下では活動量が下がり、受粉の効率が低下します」
「代わりに人の手で振動を与えるのですが、
人の労力だけでなく、受粉できる花の形を見極める経験、スキルが求められることになります」
こうした理由から、ドローンを使った受粉を考えたということです。
ドローンをどのように使って、トマトの受粉をするのでしょうか?
「まず、カメラが搭載された超小型ドローンを使い、受粉の準備ができている花を自律的に飛行しながら探索します。
その花に、受粉用に開発された別のドローンが飛行し、受粉作業を行います」
「花の識別はAIが行います。機械学習によって受粉に最適な花を識別できるようにしています」
「これらの作業(花の探索から受粉まで)は、すべて自動で行われます」
ハチや人が行う受粉と比べて、かかる時間は短いのでしょうか?
「人の方が早いですが、ドローンを使うと、省力化を図ることができます」
「ドローンを用いる利点は、受粉に費やす時間ではありません。
人の作業の省力化や生き物(ハチ)を使った不確実性の問題を解決することです」
受粉の成功率については、このようにお話しされていました。
「ハウス栽培の大玉トマトで試験したところ、人の手の振動、ホルモン剤と比較して、
今回、開発したドローンの振動機では、ほとんど差異のない着果効果が得られました。
「したがって、従来の受粉方法を、このシステムに置き換えることが可能であると言えると思います」
このシステム、実用化は、いつ頃を予定しているのでしょうか?
「今回のシステムは、研究ベースの基礎開発のため、実用化に向けた追加の開発が必要です」
また、課題もあるということです。
「カメラを使った技術では、太陽の光の下だと、その日によって光量が変わるので、
画像判定の精度が変わってしまうという課題があります」
「ドローンも、さらに安定した飛行ができるように改良が必要となります」
「専用のハウスも必要になってきます」
人の作業の省力化につながる、このシステム。
実用化され、さらに、トマト以外の農作物の受粉にも使えるようになることを祈っています。