企業と生産者を直接つなぐ 千菜一遇 農en
オンエアレポート
今回、注目するのはこちらです。2023.07.06
「企業と生産者を直接つなぐ 千菜一遇 農en」
今回のイノベーターは、「株式会社大治」の社長、本多諭さんです。
本多さん、「千菜一遇 農en」とは何なのでしょうか?
「企業と生産者を直接つなぎ、農業体験や収穫した農産物の活用を通じて、
様々な社会的意義のある活動を行い、新たな価値を創造していくプログラムです」
「2020年の秋ごろから準備を開始し、2022年3月に東京都の清瀬市の農家さんでスタートしました」
どのような思いがあって、始めたのでしょうか?
「株式会社大治は、メインは市場で仕入れを行うかたわら、
全国の農家さんと直接やり取りをして仕入れを行うこともあります。
特に東京の生産者とは1998年から取り組みを開始しています。
「ところが、市場の相場を横目で見ながら農家さんが希望する価格で買い上げるというのは非常に難しく、
間に入る立場としても、利益が出しにくい状況が続いていました」
「そこで、2019年8月31日(野菜の日)に東京の地元の企業の広告を貼り付けた野菜を販売し、
その広告費を活用し、生産者からは希望する単価で仕入れ、
小売店には売りやすい単価で販売してもらう企画を実施しました」
「非常に評判が良かったのですが、
これが生産者と企業の両者にメリットをもたらす仕組みとしては、まだ何か足りないなと、
次の展開を考えていた時に、コロナをきっかけに、この千菜一遇 農enのサービスを思いつきました」
「千菜一遇 農en」を利用する企業さんは、どのような農業体験をすることができるのでしょうか?
「企業は生産者から2アール(10×20メートル)の農地を使用する権利を借りて、
そこで希望する作物の播種から収穫までのいくつかの体験を行うことができます。
「体験の頻度についてはマックスで1作につき4回くらいで、そこは企業の希望に合わせています。
体験の時以外は、生産者が自分の生産している畑と同じようにメンテナンスをしてくれますので、安心です」
「また、収穫後の農産物を加工品に作り替え、それを企業のオリジナルのギフトやノベルティにして、
自社の取組みを発信するツールとして活用するサービスを今年から進めています」
このサービスを利用して、ある出版社は農業体験して、収穫した、にんじんの一部を地元の学校給食に寄付。
金属系の上場企業は神奈川県でサツマイモの体験を新入社員の研修として実施した。
また、新宿のJFLのサッカーチームは、選手、チームのサポーター、新宿に関係する企業や飲食店と一緒に
チームカラーにちなんだ「紫にんじん、紫キャベツ」の体験を実施している。
農業体験を通じて、つながることは、
企業さん、生産者さん、それぞれにとって、どのようなメリットがあるのでしょうか?
「企業にとっては、従業員の福利厚生はもちろん、
農業体験を通じて社会貢献活動や環境改善にも取り組むことができます」
「また、自社のスタッフに信頼のおける生産者から安定的に国産の農産物を提供していただけることは、
この先に大きなメリットとなるはずです」
「生産者にとっての一番のテーマは“あなたのお客様は誰ですか?”ということです。
この仕組みを通じて、誰のために何を生産するのかが明確になり、“受注生産型農業”への転換が図れます」
企業と生産者、どちらにとってもメリットがある「千菜一遇 農en」。
このサービスを利用する企業が増え、日本の農業がよりよい方向へと進んでいくことを祈っています。