長野県上田市の“農業デジタル人材育成プロジェクト”
オンエアレポート
今回、注目するのはこちらです。2023.05.11
「長野県上田市の“農業デジタル人材育成プロジェクト”」
今回のイノベーターは、「長野県上田市」農業政策課の巴山大梧さんです。
上田市が去年7月に始めた「農業デジタル人材育成プロジェクト」。
こちらは、どのようなプロジェクトなのでしょう?
「全国的に農業の担い手が減少する中、上田市においても農業従事者数は年々減少傾向にあり、
農業の“生産性向上”と“省力化”の両立が求められています」
「また、新規就農者は栽培技術を経験と勘のみで習得するには時間がかかるため、
栽培環境情報を蓄積・活用できる技術を活用したスマート農業を実践していく必要があります」
「これらの課題の解決には、スマート農業の地域実装が必要と考えていまして、
スマート農業を地域に普及させるITリテラシーを有した人材を育成するため、このプロジェクトを始めました」
上田市が考える「農業デジタル人材」は、
「スマートグラス」「環境センシング」「AI選果」といったスマート機器の活用方法を理解し、
それらの技術の上田地域への定着を目指す人のことです。
「スマートグラス」「環境センシング」「AI選果」は、それぞれ、どのような機器なのでしょうか?
「スマートグラスは、センサーや通信機能を有するメガネのようなウェアラブルデバイスです。
遠隔での営農指導、相談を可能にします」
「環境センシングは、畑の温度や湿度、土壌水分量など様々な環境データをIoTセンサーにより収集すること。
これらのデータを活用し、経験や勘だけに頼らない形で栽培技術を習得することを目指します」
「AI選果は、農産物の選果にかかる情報を学習したAIによって、農産物の等級を判断することができるシステム。
このシステムを活用し、新規就農者の選果をサポートすることで、
経験豊富な農家の感覚をより効果的に習得することを目指します」
このプロジェクトを始めてから10か月ほどがたった今、どのような課題が浮かび上がってきているのでしょうか?
「地域へのスマート農業の実装を目指す際、個人の農家一人一人にスマート機器を導入することは、
農家への費用負担を考慮すると、難しい面があります」
「また、環境センシングで得られた栽培データをどのように実際の農業経営に生かしていくのか、
今後はっきりとした将来像をつくっていく必要があります」
農業の“生産性向上”と“省力化”につながるだけでなく、新規就農者の確保に繋がる可能性もある、このプロジェクト。
現状の課題を解決し、多くの自治体に広がっていってほしいと思いました。