海の上で野菜を育てる“海上農業”
オンエアレポート
今回は、こちらに注目します。2022.12.22
「海の上で野菜を育てる “海上農業”」
今回のイノベーターは、「N-ARK(ナーク)」の田崎有城さんです。
海の上で農業をする…
その背景にあるのは、食糧生産への危機感でした。
「農地は塩害に侵食されているので、
多くの人を養うには“陸地農業”だけでは足りません。
海での食糧生産は、重要性を増していますが、
2036年までに全ての魚は海から消えることが予測されています。
そのため、陸地での海水利用の農業技術の確立と海上農業は、
今後の食糧生産の要になります。
さらに2050年には世界人口の75%が沿岸部周辺で暮らすと予測されていまして、
海上や沿岸部でのサステナブルで新しいライフスタイルの確立と発信が
世界で求められています」
「海上の農園」は、沿岸部などに浮島をつくって、
その上に建築物(農園)をつくることを想定しているということです。
では、野菜の栽培に使う、水や肥料は、どのように確保するのでしょうか?
「雨水と海水を利用します。
雨水を効率的に取り込むため、屋根の形状は“M字型”になっています」
「これによって、
建築物の下にある貯水タンクに雨水を集めることができます。
集めた雨水と海水を混ぜ合わせ、窒素、リン酸、カリウムを揃え、
調整を行うことで、海上農業の肥料となります。」
海上農業、今はどのような状況なのでしょうか?
「パートナーであるアグリテックスタートアップの『カルティベラ』が、
昨年末から伊勢志摩で実証実験を進めていまして、
順調に研究開発は進んでいます」
「カイワレ大根、水菜は海水の栄養でほぼ育ちますし、
トマトの栽培も成功しています。
味は、塩味があって、美味しいです。
美味しくないと食べてもらえないと思っています。
そして来年は葉物の栽培での技術確立を目指しています」
技術が確立するまでには、2~3年ほどかかり、
実用化には課題があるといいます。
「技術的には、
安定的で大量に栽培できる技術の確立が最優先事項です。
また、実用化には、自治体や漁業組合の許可が必要など、課題があります」
田崎さん、海上農業が実現したら、
「塩害がある地域での塩害対策として使えるだけでなく、
塩味のある野菜など、新しい食材が生まれる可能性がある」
と、お話しされていました。
技術面、実用化面で、まだ課題があるということですが、
「海上農業」が実用化される日を楽しみにしています。