柑橘を長持ちさせる技術『シルクコーティング』
オンエアレポート
2025.03.20

“シルクコーティングした柑橘”と“していない柑橘”の比較
今回、注目するのはこちらです。
「柑橘を長持ちさせる技術『シルクコーティング』」

今回のイノベーターは、愛媛県にあるユナイテッドシルク株式会社の代表取締役社長、河合崇さんです。

ユナイテッドシルク株式会社は、どのような会社なのでしょうか?
「シルクのトータルソリューションカンパニーです。
養蚕を工業化して、白い繭層からシルクプロティンを自社工場で抽出・加工して、
繊維以外に、フードテック(食品)、ヘルスケア(美容=化粧品)、バイオマテリアル(医薬品、樹脂ポリマー)向けに
シルク原料を供給します」
そして、柑橘を長持ちさせる「シルクコーティング」。こちらは、どのような技術なのでしょう?
「シルクリキッド(水溶液)を柑橘にコーティングすることで、メッシュを形成します。
この天然のメッシュが酸素の通過を適度に阻害してくれるので、柑橘の賞味期限を伸ばすことができます」
柑橘に、どのような方法でコーティングをするんですか?
「選果場で、専用スプレーノズルを用いて、コーティングします」
このコーティングで、どのぐらい、柑橘は長持ちするんですか?
「愛媛県のデジタル実装加速化プロジェクト『トライアングルエヒメ』で実証実験を重ねており、
コーティングがない場合と比べて、柑橘は1.5~2倍くらい長持ちする見込みです」
なぜ、長持ちするのでしょう?
「シルクを構成するフィブロインと呼ばれるタンパク質は、疎水性(水を通しにくい)の「βシート」と呼ばれる
結晶構造を持っていて、集まると自然に繊維を構成する性質=自己組織性があります。
天然のメッシュで柑橘を覆い、酸素の通過を適度に阻害してくれることで、長持ちします」
どのような思いがあって、この技術を開発したのでしょうか?
「物流2024年問題として、物流業界の人手不足問題の解消につながらないか、
店頭で販売する前に柑橘が腐敗するフードロスを防げないか、
また、最終的には、日本(愛媛)の柑橘の海外輸出につながらないかと考えたことがきっかけです」
柑橘農家さんが、実際に使えるようになるのは、いつごろになりそうですか?
「来シーズン(今年10月以降)に、本格的に活用できることを目指しています」

今は柑橘で実証実験を行っている、こちらの技術。
今後は柑橘だけでなく、幅広い農作物に使えるようになることを期待しています。