指でつまむだけでイチゴの大きさや重さを判別できるウエアラブル端末
オンエアレポート
今回、注目するのはこちらです。2025.01.09
「指でつまむだけでイチゴの大きさや重さを判別できるウエアラブル端末」
今回のイノベーターは、芝浦工業大学の重宗宏毅 准教授です。
「指でつまむだけでイチゴの大きさや重さを判別できるウエアラブル端末」について、詳しく教えてください。
「こちらは、イチゴの果実を指先でつかむだけで規格を判別するウエアラブル端末です」
「このウエアラブル端末が手袋のように手に取り付けられるようになっていて、センサーを使って、
親指と人差し指の間の距離を、収穫動作を行いながら、リアルタイムで測定することができます」
どのような仕組みなのでしょうか?
「手首に制御基板や液晶画面を、親指にセンサー、人差し指に磁石を取り付けます」
「イチゴの果実の最も膨らんでいる部分(円錐形とした時の底面の径)をつかむと、
磁力の強さに応じて長さを算出します。
そこから推測した重さと、S~Lなどの規格を、液晶画面に表示します」
どのようなきっかけで、このウエアラブル端末を開発したのでしょう?
「当時、農研機構の研究員で、現在は岡山大学・講師であり、イチゴの品種『恋みのり』の育成者である
遠藤みのり先生から、イチゴの生産者の負担を軽減できるウエアラブル端末を開発できないかと依頼があり、
2人で相談しながら検討したところ、このウエアラブル端末が実現しました」
「イチゴの生産者さんの負担を軽減する」ということですが、たとえば、どんな作業の負担が大きいのでしょうか?
「イチゴは労働時間のおよそ半分を『収穫と選別・パック詰め作業』が占めます」
「収穫と同時に選別・パック詰め作業ができないため、一度収穫をした後に、作業場に持ち帰ったり、
大規模収集施設に運んだりして、選別・パック詰め作業を行います」
「収穫期となった果実を一度に作業する必要があるため、ある時期に負担が集中します。
作業場に持ち帰らずにその場で規格分類ができるようになれば、負担が軽減するのではないかという思いのもとに、
ウエアラブル端末の開発を行ってきました」
このウエアラブル端末を使うと、イチゴ農家さんの「収穫と出荷調製作業」の負担が軽くなるのでしょうか?
「収穫と選別・パック詰め作業の負担が軽減されます。
初心者や外国人労働者でも、手軽にイチゴの規格を判別することができるようになるため、人手不足が改善されます」
「ゆくゆくは収穫と選別・パック詰め作業を統一することで、圃場でそのまま規格分けをすることで負担軽減する、
新しい生産体制を構築できればと考えています」
「また、収穫と規格分けを同時に行うことで、果実へのタッチ回数を減らし、損傷が軽減したという結果も得られており、
品質向上やフードロスへの貢献も期待できます」
このウエアラブル端末。今はどのような段階なのでしょうか?
「ウエアラブル端末のプロトタイプは4代目になりました。確実に性能も使いやすさも向上しています。
製品化に向けて細かい仕様や設計を検討している段階になります」
「3年後までには、皆さんの手元に届くように開発中です」
イチゴ農家さんの負担を減らしてくれる、このウエアラブル端末。
一日でも早く実用化されることを期待しています。