この物語は、ごくごく普通であくまで平均的な53歳の安部礼司がトレンドの荒波に揉まれる姿と、それでも前向きに生きる姿を描いた勇気と成長のコメディである。
日曜の黄昏時、若さと渋さの間で揺れる昭和生まれのアナタに贈る『鼻歌みたいな応援歌』を、ツボな選曲とともにお楽しみ下さい!
今なお学生とサラリーマンが肩を並べてランチを食べる街、神保町。その表通りを少し入ったところにある一棟のオフィスビル。この物語の舞台となるのは、そんなどこにでもあるいたってフツーな中堅企業の営業フロア。その神聖なる職場を眺めてみると容姿も力量もまさに人並みな平均社員、安部礼司という男が見えてきました。さらにとても意外なことにその53歳のサラリーマンは、ボールペンを指の上でクルクルと回しながら笑い転げているのでした。
昭和46年10月10日生
53歳
ご存知!Mr.フツー。仕事も恋も家庭も友情も、大事なことはすべてマンガから学んだと豪語する平成のお気楽サラリーマン代表。iPodには「今さらツボなセレクション」と題された懐かしい楽曲が2万曲近くも入っている。
昭和56年8月31日生
43歳
「自分磨き&自分癒し」が信条のキラキラ系小悪魔OL。姉御肌な一面も漂わせるグラマー美人。実家は相当な資産家で、政財界に幅広いネットワークを持つ。2008年に安部礼司と結婚し、同年長男「永太」を、2014年に長女「蘭」を授かる。旧姓「倉橋」。
昭和47年4月1日生
52歳
トレンディでアーバンなシティライフを満喫するIT系のエリート・サラリーマン。ハーバード大でMBAを取得し、資本主義社会における大きな成功を手にしたが、その裏では人間としての失敗がいっぱい。高らかな笑いの影には涙がいっぱいなMr.ギャップ。
昭和55年2月14日生
44歳
中途採用で入ってきた転職組。安部以上に物事を知らないお気楽者だが、ゲームやパソコンなどのアキバ系には驚くほど造詣が深い。普段は素直で心優しい後輩だが、ひとたびタガが外れると手がつけられないほど猪突猛進な熱血漢に。愛車はウイングロード。
昭和34年7月7日生
65歳
安部のフツーさこそが全国的なヒット商品を産むと睨む大人な上司。 バブル世代なのでトレンドとグルメには人一倍敏感。不倫は文化だと豪語するちょい悪な一面も持ち合わせており、ピエール大場というペンネームで投稿した官能小説が大賞を受賞した。愛車はエルグランド。
神保町にオフィスを構える某電気メーカー傘下のグループ企業。カーナビの新ソフトを開発すべく立ち上げられたコンテンツ・ビジネス部は一時閉鎖されていたが、大場部長、安部、飯野、倉橋らの奮闘により、復活。N社に条件付きで採用された「ご当地ナビ」の商品化を目指しているが、まだまだ課題は多い。
大阪万博のフィーバーもようやく落ち着いた昭和46年の10月10日、静岡県静岡市にて産声をあげる。
日大経済学部を卒業後、過酷な就職戦線を乗り越えて大日本ジェネラル(株)に就職。
ここから先はドラマでは語られてこなかった安部キュンの知られざるヒストリーです。
Point 1
面白くて明るいのが好き
小学生の頃、アイドルはなんとなくピンクレディや松田聖子以降適当に好きになっていたが、好きだったのは哀愁系ではなくて石川秀美の「Hey! Mr.ポリスマン」のようなアゲアゲな歌。おもいっきりベスト10世代なので流行した歌ならたいがい知っているが、中でも横浜銀蠅のファッションや風見しんごのブレイクダンス、C-C-Bの髪型にはかなりヤラれたクチ。
Point 2
とりあえず流される
中学生になると小林克也の「ベストヒットUSA」にもハマり始めるが、同時にレベッカや尾崎豊にも激しく感動する。中学も後半になるとそれらと平行してバンドブームにも乗っかり、ボウイーやバービーボーイズなどにも触手を伸ばした。でも髪型はまだチェッカーズだった。
Point 3
一番音楽が好きだった時期
高校生になりブルーハーツやプリンセスプリンセスあたりもなんなく受け入れると同時に、ペットショップボーイズあたりのUKサウンドにも反応するようになる。しかしなによりも恋愛に夢中な時期だったので、自宅ではひっそりビートルズと渡辺美里を愛聴していた。
Point 4
洋楽から邦楽へ
大学生になるとブラコン・ブームにのっかりボビー・ブラウンやホイットニー・ヒューストンなどを買ってみたりもした。ブラックボックスなんかのイタロ・ハウスも買ってみた。しかしカラオケ用に邦楽のシングルをレンタルしているウチにいつしか洋楽熱は冷めてまた邦楽リスナーに。それ以降、徐々に音楽への情熱は薄れていく。
Point 5
流行ったら反応する、
がスタンダード
社会人になってからはカラオケ主体なので、その時々に流行ってるものを適度に取り入れてる感じ。セカオワやサカナクションなどにも触手を伸ばしてはみるものの、やっぱりオザケンの「今夜はブギーバック」が入ると興奮してついつい「コピれ〜メモれ〜」とかいってスチャダラばりに完璧なフローを披露してしまう。
Point 1
ストレートな勧善懲悪
子供の頃、仮面ライダーやウルトラマン、ガッチャマンやゴレンジャーなどのヒーローものと共に成長する傍ら、みなしごハッチはみつばちマーヤなどの心優しい系もうまい具合にブレンドされていたので「人情肌の正義漢」という分かりやすい性格が形成された。
Point 2
ワクワクすることや
楽しいのが大好き
小学生になると川口ひろしの探検シリーズに夢中になり、水曜日の夜が好きになった。ドリフからひょうきんに移ったのはわりと早めで、小学校三年生の頃。当時はまさにヒゲダンスが流行していた時期なので土8の切り替えとしてはかなりの英断だったと言えた。それぐらいお笑いが好きだった。
Point 3
自分とTVの世界がシンクロする
中学に入ると多くのクラスメイト同様、ひょうきん系からとんねるずに移行。「欲しかったらテキサスまで取りに来い!」など、TV語はなんでも真似るイージーな口調はここで決定的に。トレンディドラマや学園モノもよく見ていたが、ヤンキーでもないのになぜか長渕剛主演のドラマには並々ならぬ反応を示す。さらにその頃には人間模様も多少理解してきたので、「男女七人夏物語り」や岡本健一主演の「13ボーイ」、レベッカの主題歌で人気を博した「ハーフポテトな俺たち」などのドラマも楽しめるようになった。
Point 4
アイドルドラマから月9へ
中山美穂や南野陽子が主演するドラマをなんとなく見ていたらいつしか時代はトレンディへ。久保田利伸の「You are mine」で始まる「キミの瞳を逮捕する」やW浅野主演の「抱きしめたい」の洗礼を受け、本格的にドラマにハマる。大学生時代には「東京ラブストーリー」、「愛という名のもとに」などの月9黄金時代を存分に堪能する。
Point 5
リアルな人間ドラマに感動したい
社会人になると「プロジェクトX」で味をしめて以降、「情熱大陸」、「ガイアの夜明け」などのドキュメンタリー&感動系を好んで見るようになる。40を過ぎてからは歴史物にもグッとくるようになり、大河ドラマや歴史秘話ヒストリアなども時に涙を流しながら鑑賞するようになった。
Point 1
同世代との連帯感を求めて
三年生の時にコロコロ・コミックを買うようになり、初めて習慣化する。途中、あだち充のマンガにも影響を受けるが、五年生の時初めて買った「週刊ジャンプ」の衝撃ほどではなかった。北斗の拳、キャプテン翼、シティハンター、キックオフ、ストップひばりくん、キン肉マン、アラレちゃん…。部数600万部を誇り、キラ星のごとく人気マンガが揃っていたジャンプの黄金期。完全にハマった安部は雑誌の最後にある「ジャンプ放送局」という読者投稿のページまで読み漁るようになり、「小平小平」と「うぷぷ山ぽぽ子」という投稿者を応援するようになる。その経験を元に、リスナーからの投稿で盛り上がっているようなラジオ番組にも興味を持つようになり、深夜ラジオにもハマっていった。中学生の頃はとんねるずやビートたけしのオールナイト・ニッポンを聴きながら寝たりもした。
Point 2
友情、恋愛、仕事。
大事なことは全部マンガから学んだ
高校生の頃はみやすのんきの「冒険してもいい頃」などのちょいエロ系をコソコソと集めたりしていたが(同じ理由で本宮ひろしの「俺の空」も好きだった)、ある時期衝動的にそれらのコレクションを処分した。大学生の頃はスピリッツを欠かさず購入。伝染るんですや特急江戸むらさき等の4コマにハマる。それ以降ずっとヤンマガだのヤンサンだのとなにかしら週刊マンガ誌を購読しているが、ブックオフができてからはまた単行本熱が復活。まとめて大人買いするようになり、その癖はAmazonでの全巻まとめ買いに継承された。
Point 1
ビビリであるが故の楽しいもの好き
幼少の頃に見たジョーズやエレファントマンのあまりの恐さにホラー系は絶対にダメなビビリ体質に。その反動なのかどうか分からないが「E.T.」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などのファンタジックなハリウッドものが大好きなる。
Point 2
○○だといいなぁ〜という妄想癖
中学くらいには角川映画のファンになり、ほとんどすべて映画館で見るようになった。特に「時をかける少女」のようなありえないシチュエーションにハマってしまう癖は、TVで見た「転校生〜俺がアイツでアイツが俺で〜」でも同様に異常に反応。後年、「世にも奇妙な物語」の大ファンになるのに大きな影響を与えたと思われる。
Point 3
恋愛はラブコメが基本
高校、大学時代には恋愛映画にハマる。中でもメグ・ライアン主演の「ラブコメ」路線がお気に入りだった。彼女と一緒に見に行った「プリティウーマン」は、上映後、彼女以上に絶賛し続けて不仲に陥ったほど、ラブコメを地でいく安部キュンでした。
Point 4
ディテールはあまり気にせず、
相変わらず乗っかる方向で
スカパーに加入して以来、名作や海外ドラマに気軽に触れられるようにはなったが、あくまでも大きな話題にしか食い付かないので、雑誌ブルータスで「今、小津安次郎が面白い」などと言ってもピクリとも反応しない。古い映画は難しいような気がしてあまり気が乗らない。あと、日本とアメリカ以外の国の映画は見たことないと思っているが、自分の一番好きな映画「ライフ・イズ・ビューティフル」がイタリアのものだということにはまだ気付いていない。