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2017.01.14 Sat

モノにまつわることなら、何でもやります。山田遊

今回は、セレクトショップを裏から支えるバイヤーという職業に迫ります。株式会社メソッド代表取締役、山田遊さんに話を伺いました。

小宮山雄飛さんのリポートです!



■世の中は、だいたいグレーじゃないですか。



●六本木・国立新美術館ミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョーバイシボネ」
●東京ミッドタウン「21_21 DESIGN SIGHT」ショップ監修
●奈良の老舗雑貨店「中川政七商店」

など、多くのショップのディレクションやプロデュースに関わる、山田遊さん。株式会社メソッドは、いったいどんな会社なのでしょうか?

山田遊さん
「いつも答えに窮するんですが、モノにまつわるプロフェッショナル集団と言っています。僕自身は、IDÉEが青山にあった時にバイヤーをやっていたので、今でもバイヤーという肩書きです。モノにまつわることなら、何でもやります。バイヤーを目指していたわけではありません。僕が入社して1〜2年でバイヤーをやっていた方が辞められて、会社からやれと言われて……(笑) 23〜4歳で、まさかそんなことになるとは何も思っていなかったので、そこから必死に勉強しました」

バイヤーとは、どんな仕事なのでしょうか?

山田遊さん
「基本的には〈買う人〉という意味ですが、一般のお客さんの買い物とは違っていて、店に並べて売るモノを買い付ける仕事です。自分が好きということは問題ではなくて、売れないといけない。好き嫌いが縦軸、売れる売れないは横軸。〈嫌いで売れないモノ〉は問題外(笑) 悩ましいのは、〈嫌いだけど売れるモノ〉。すごく売れていくと、だんだん好きになることもありますが。〈嫌いで売れるモノ〉を、好きで売れるよう底上げしていきたいです」



買い付けの時のコツはありますか?

山田遊さん
「どこに基準線を引くか、ですね。ここからは許せない、許せるという。白黒やゼロ百ではなくて、どちらかというとグラデーションの世界。世の中はハッキリした物を求められますが、だいたいグレーじゃないですか。そのグレーにどれだけ線を引けるか。何が売れるかわからないけど、売れると思えば気合いだけで売れる気がします(笑) IDÉEにいた頃、自分が仕入れたモノが全然売れないと、店頭に立って必死こいて接客してましたもんね。なんとかして、この在庫は残さないようにと。今でこそ精度が上がっているのかもしれないですけど、バイヤーを始めた頃は本当に怖かったです」


■嗅覚は、印象に残りやすい。



バイヤーから始めて、ショップのディレクションをするようになった経緯は?

山田遊さん
「最初は、品揃えを考えることがクライアントのオーダーだったのですが、品揃えを考えるにも、大前提としてどういうお店であるべきか、どういうコンセプトのお店なのかをお客さんに明確に語れないといけない。品物だけでお店は成り立っていないことに気付きました。お店の方向性から関わって決めっていった方が、実は品揃えが楽に決まるんです」

トラベルギアブランド「TO&FRO」の直営店が羽田空港にオープン。山田遊さんが手掛けています。

山田遊さん
「〈TO&FRO〉は、旅にまつわる製品を作っています。元々、〈TO&FRO〉自体が、金沢にあるテキスタイルメーカーのブランド。アウトドア・ブランド向けに生地を作って提供しているメーカーで、非常に薄くて軽量で耐用性がある生地を作ることが得意です。旅先では、機能性の高いコンパクトなトラベル・グッズを多数作っています。羽田空港の〈TO&FRO〉では、〈音楽と香り〉がポイント。サウンドクリエイターとフレグランスを担当する方と一緒に作りました。嗅覚は脳に直結し記憶に紐づいて、印象に残りやすいんです」

東京と日本各地をつなぐ〈地域ブランディング協会〉の理事だそうですね。

山田遊さん
「地方創生が政策レベルで行われ、〈ローカル〉がトレンドになっています。僕自身は東京にずっと住んでいくだろうと思っていたのですが、東日本大震災があった以降、そうじゃなくなる時もあるだろうなと思いました。日本全国のモノ、世界のモノが東京に集まってくる、バイヤーだけが行く大きな展示会があるんですが、その展示会を見ていると知っているモノばかりで他のバイヤーさんと変わらない。すると、展示会でモノが探せなくなる。そこで、モノが生まれている所に行こうと、いろんな地域へ行くようになりました。地域のメーカーへ行くと、そのへんに転がっているモノが面白かったり、『こんなモノを作ってるんだけど、どう思う?』と聞かれたり……。バイヤーが見る前の段階でモノが見られて、メーカーの考えも聞ける。情報が一番大事な職業としては良いな、と。地域でお店を作ったり、イベントの仕事が増えましたね」


■そろそろ、自分の店を持ちたい。



山田遊さんが考えている、これからのワクワク、教えてください!

山田遊さん
「店を持たないバイヤーとして活動して来ましたが、数年前から、そろそろ自分の持ちたいな、と……。ワクワクしているのは、その物件探しです!」


wearemethod.com/

〈本日のオンエア曲〉
Super / Zeep
Don't Take Your Time / Roger Nichols & The Small Circle Of Friends