2016.11.19 Sat
世界の郷土菓子を日本に広めたい。林 周作
今回は、世界の郷土菓子に注目！ 世界各国の郷土菓子を実際に食べ、味を伝える菓子職人、郷土菓子研究社の林 周作さんに話を伺いました。いったい、どんなお菓子があるのでしょうか？
小宮山雄飛さんのリポートです！
■世界各国を旅をして、郷土菓子を調べる。
原宿と渋谷の間にある、世界の郷土菓子を食べられるカフェ『Binowa Cafe』へ。郷土菓子研究社が、茂木びわ茶の『Binowa』と共に今年オープンしました。
林さんと郷土菓子の出会いは何でしょうか？
林 周作さん
「20歳の頃から8年間、世界各国を旅をして郷土菓子を調べ、日本へ帰って来ては再現していました。元々はイタリア料理のレストランで働いていましたが、イタリア菓子はメジャーではなく、特にイタリアの地方菓子は専門店がありません。せっかく面白いお菓子があるのに、おかしい（笑） これは伝えないと、と。イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル……調べ出すと、いろいろ発掘できて面白いんです。海外のお土産屋で売っているようなものではなく、土着のお菓子ばかり。日本みたいに気取ったり、すましてはいません（笑） 日本で置いてはいけないような、現代アートのような爆発したお菓子もあります」
カフェ『Binowa Cafe』では、どんなお菓子が食べられるのでしょうか？
林 周作さん
「ちょっと変わっているのは、アゼルバイジャンの代表的な郷土菓子〈シェチェルブラ〉。アゼルバイジャンでは置いていないお菓子屋はないくらいに、メジャーなお菓子です。現地では、お祭りの時によく食べます。餃子のような形で、スパイスのカルダモン、くるみ、粗めの砂糖が入っています。その他に、インド、ドイツ、フランス、ウクライナのメドヴィック、ジョージア（かつてのグルジア）のチュルチヘラなどのお菓子もあります」
アゼルバイジャンの郷土菓子、シェチェルブラ。
■自転車で郷土菓子を探す。
郷土菓子と出会うために、どんな旅をしていたのでしょうか？
林 周作さん
「お菓子を調べるため、まずフランスへ移り住みました。お菓子屋に務めながら、各地のお菓子を買って食べて撮影していましたが、働いてみると調査の時間がありません。このまま日本へ帰っても意味がないので、自転車を買って日本へ。東へ進めば日本がある、と……。寄り道をしながらお菓子を調べましたが、ホテルには泊まりませんでした。暗くなったら周辺の民家を訪ね、泊まる交渉。毎日、泊まれましたね。泊まった家のお母さんから、家庭のお菓子を教えてもらったり。二年半の間、自転車に乗って十数カ国を旅しました」
これまで食べた中で、もっとも感動したお菓子は？
林 周作さん
「インド、トルコあたりが面白かったですね。ヨーロッパは、ある程度は日本へ情報が来ていますので。トルコのガズィアンテップという街の〈バクラヴァ〉は、かなり感動しました。パイ菓子をシロップに浸けたお菓子で、中に一層だけピスタチオが詰まっています。ガズィアンテップは、ピスタチオの名産地なんです。〈バクラヴァ〉自体は中東全体を代表するメジャーなお菓子なので、日本でも探せば食べられるかも知れませんが、僕が食べたガズィアンテップのピスタチオではありません。その感動は、現地へ行かないと味わえませんね」
■いろんな人に、その国を知ってもらいたい。
林 周作さんが考えているこれからのワクワク、教えてください！
林 周作さん
「カフェ『Binowa Cafe』で出しているお菓子は、どれもその国の代表的なお菓子を選んで作っているのですが、その存在は全然知られていません。昔の日本における西洋菓子もそうでした。例えば、クリスマスのシュトーレン（ドイツの菓子パン）。元々は知らなかったのに、今はかなりメジャーになっていますよね。僕がお菓子を紹介することで、いろんな人にその国を知ってもらったり、僕がお菓子を作って再現し広まっていったら。また、僕はユーラシア大陸横断しかしていません。行っていない土地のお菓子を制覇したいですね」
郷土菓子研究社
http://www.kyodogashi-kenkyusha.com/
林さんの旅のエピソードなども書いてある、郷土菓子専門フリー新聞『THE PASTRY TIMES』
http://www.kyodogashi-kenkyusha.com/thepastrytimes/
林さんの著書『THE PASTRY COLLECTION 日本人が知らない世界の郷土菓子をめぐる旅』
http://amzn.asia/7jFjMdY
〈本日のオンエア曲〉
Couleur Cafe / Serge Gainsbourg
Good Morning World! / 世武裕子
