2016.10.08 Sat
地場産業を知ってもらうきっかけを作る。金谷勉
東京・表参道駅から徒歩2分のギフトショップ&ギャラリー『コトモノミチ』をピックアップ。コトモノミチを運営するセメントプロデュースデザイン代表の金谷勉さんに、話を伺いました。
小宮山雄飛さんのリポートです!
■物の向こう側を見せる。
コトモノミチのキャッチコピーは、『産地をまるごと伝えるギフトショップ&ギャラリー』。
金谷勉さん
「コトモノミチは、都会のみなさんに地場産業を知ってもらうきっかけを作る、〈産地のコンシェルジュ〉です。気に入っていただいた方は、各地へ行っていただければ。物だけではなく、〈物の向こう側を見せる〉というのが裏テーマです」
地場産業のギャラリーであると同時に、販売も行っています。店内が同じ商品で固定化しないよう、商品を変えるそうです。
金谷勉さん
「いろんな職人さんや、東京に出たいのにすぐに出られない方々の機会になれば。一緒に組んで販売できる商品は、ずっと売りたいです」
■形を作るだけで終わり、ではない。
コトモノミチの、代表的な商品を見せてもらいました。
まずは、定番商品『鯖江みみかき』。
金谷勉さん
「メガネのフレームの横に入っているテンプル(軸)をそのまま活用して、先端を切らずに耳かきにしました。福井鯖江市のメガネ素材加工メーカーとの共同開発です。海外から安いメガネが入り、メガネの産地の鯖江では仕事がすごく減っているので、技術を使って何かできないかと。二万本以上売れました」
ニットのセーターの袖口のようなカップ、『Trace Face』。
金谷勉さん
「陶器の産地・愛知県の瀬戸で、昔の干支の陶器の型を作っている職人が作りました。最近は、海外で陶器が作られるために職人の仕事が減っており、技術を残すためにやっていこうと……」
コトモノミチは、作りたいものが先にあるのではなく、まず職人さんに出会い、その技術でどんなものを作ったら良いのか考えるそうです。職人さんと物づくりをしたいと思ったきっかけは、何でしょうか?
金谷勉さん
「職人さんに出会って、びっくりしたことが大きいですね。例えば、陶器は一つの会社が全部やっていると思っていましたが、型を作る人、土をこねる人、釜焼きをする人……と、小さな会社が集まって出来ている産地が多いんです。私たちは、価格設定から販売まで一緒にやります。形を作るだけで終わりではなく、その先も一緒に作ります」
■現場を見て、何ができるかを考える。
〈コトモノミチ〉という言葉には、どんな意味が込められているのでしょうか?
金谷勉さん
「〈コト〉は、職人たちの技術。〈モノ〉は、デザイン。〈ミチ〉は、流通、販路、売り場。作った物をお客さんに届けるための手段です」
物づくりのアイデアは、どうやって生まれるのでしょうか?
金谷勉さん
「現場を見て何ができるのか、その会社が何がしたいのか、何が課題になっているのかを考えます。すぐにデザインをするわけではないです。予算がない会社の場合は、どうしても時間がかかってしまいますね。新しい機械を買うお金がないので、今ある設備と人で新しいことをやる。すごく難しいお題です」
■日本製造株式会社。
金谷勉さんが考えている、これからのワクワク、教えてください。
金谷勉さん
「僕らが大阪と東京でやっていることと、同じような動きをしたいと思っている遺伝子を各地で育て、協業します。実際、岐阜と福井で試験的にスタートしています。地域でうまく活動できない方々とコラボレーションし、〈日本製造株式会社〉ができれば面白いかな、と」
2016年10月6日(木) 〜 10月18日(火)
『made in KOBE カワコモノ〜STUDIO KIICHI展〜』
神戸・元町『STUDIO KIICH』より、革を愛するデザイナー片山喜市郎氏が革の魅力を伝えるポップアップストアをオープン。パターンオーダー会やワークショップも同時開催。
コトモノミチ at TOKYO
coto-mono-michi.jp/
〈本日のオンエア曲〉
savior / WONK
la nuit des masques / team Rallye (number0 + CONCERT + milk + sugar me)