2016.09.24 Sat
塩の楽しさを伝えたい。田中園子
今回は〈塩〉に注目。
塩の専門店〈salt&deli solco〉を経営するソルト・コーディネーター 田中園子さんに、塩にまつわるさまざまな話を伺いました。
小宮山雄飛さんのリポートです!
■日本の米には、日本の海の塩が合う。
東京都品川区・戸越銀座商店街にある塩の専門店〈salt&deli solco〉。まるで、高級化粧品のようにきれいに並べられた塩は、国内外産合わせて45種類。
田中園子さん
「ソルト・コーディネーターとは『塩の香り、形、結晶などの〈楽しさ〉を人に伝える』資格です」
店内の〈スタンディング・バー〉では、塩だけを試食できるほか、お店で購入したおむすびやコロッケ、ジェラートに付けて食べられます。塩をなめながら、日本酒を飲む方もいるそうです。
オススメの塩は何でしょうか?
田中園子さん
「日本の米で作ったおむすびには、やはり日本の海の塩が合います。中でも、高知県産の〈天日塩(てんぴえん)〉が合います。土地が狭い日本に多い、釜で炊く塩ではなく、太陽の光と風で結晶させている塩です。高知県で最初に塩を作った、小島(おじま)正明さんの〈天味海(あまみ)〉をオススメします。おばあちゃんが握ってくれた、昔ながらのおむすびような印象です。まろやかで、旨みと塩味のバランスが良いです」
インドネシアのバリ島でしか作られない〈ピラミッド塩〉も、田中さんのオススメ。大きさ2mmほどのピラミッドのような形は、なんと自然にできるのだそうです。見た目は硬そうですが、噛むとすぐに崩れるのが特徴です。
■海がおいしい。だから、塩がおいしい。
田中園子さんは理系の大学を卒業後、外資系製薬会社に就職。開発職として働きながらフードコーディネーターの学校にも通います。その後、長らく勤めた製薬会社を辞め、野菜ソムリエに転職。ロンドンへ留学し、スローフード協会で日本食を紹介するイベントを行うなど食のプロジェクトに関わってきました。東京・お台場にある日本科学未来館の職員でもあったそうです。
2013年、旅先の宮城県石巻で塩に開眼。半年後には、ソルトコーディネーターの資格を取得。さらに一年後には〈salt&deli solco〉を開店したという、行動力のある田中さん。ご本人曰く、『塩パワー』だそうです。
田中園子さん
「塩づくりをされている方に、出来るだけ会いに行ってコミュニケーションを取っています。宮城県塩竈(しおがま)の〈塩竈の藻塩(しおがまのもしお)〉は、作ってる方が『うちの塩を食べてほしい』と塩を持ってお店へいらして、扱うことに。塩竈の鹽竈(しおがま)神社では神事として塩づくりが行われている場所。販売したかったのでビックリしました」
田中さんは〈ご縁〉を、〈ご塩〉と書くそうです。
田中園子さん
「旨みが濃い宮城県石巻の〈伊達の旨塩〉は、塩にハマッたきっかけです。当初、店での容器の詰め替え販売に許可が下りませんでしたが、宮城県へ挨拶に行ったところ、『販売してください』と逆に許可をもらいました。石巻は牡蠣やホヤで有名なので、海がおいしい。だから、塩がおいしいんです」
■塩を体に採り入れて、元気になる。
田中さんが考えている、これからのワクワク、教えてください。
田中園子さん
「今、温めているプロジェクトが、〈ソルトリップ〉。塩の役割や大切さを身近に感じてもらう旅を、楽しんでもらうプロジェクトです。『塩は、生活に必要』、『塩は、行きていくために必要』ということを実感してもらいたいです。生命は海から生まれましたが、最初は体内が海のミネラルだけでした。海のエキスである塩を体に採り入れて、自然と体が元気になっていくのを感じてもらえれば」
salt&deli solco
〈本日のオンエア曲〉
Come To Me / Koop Feat. Yukimi Nagano
I'm In Love / Teenage Fanclub