この秋見ておくべき国宝ベスト3(2014/9/18)
木曜日は、「カルチャー」。
この秋の日本列島、大きな話題は「国宝」。
日本にある全1090の国宝のうち、2割が各地の博物館に展示されます。
そこで今朝はこんなランキング。
『この秋見ておくべき国宝ベスト3』
今回は、映像作家でアニメーション監督・漫画家の
いわきりなおとさんにベスト3を選んでいただきました。
いわきりさんは「国宝トゥナイト」という、日本初の国宝ガールを
主人公にしたマンガを書く“日本美術マニア”でもいらっしゃいます。
第3位 【 鳥獣人物戯画 】
こちらは京都国立博物館 明治古都館で10月7日から開催される『国宝鳥獣戯画と高山寺』に出品されます。
鳥獣人物戯画は、日本4大絵巻のひとつ。京都の高山寺でずっと守られてきた絵巻で、平安時代から室町時代にかけ、鳥羽僧正という絵の上手い方が書いたと言われています。今回は4巻(甲・乙・丙・丁)が全部揃うということで、所々絵のタッチが違う、ということも分かると思います。書かれた年代も、100年くらい書き継がれてきた、と現在は言われています。蛙と兎と猿が遊んでいるところに、落書きのようなマンガのような…そもそも戯画というのが「おもしろい絵」という意味なのですが、筆の運びや躍動化を見ると、ものすごく上手い!と分かると思います。巻物は、巻いてある状態を右に左に動かしてストーリーと動きを楽しむものなので「マンガの元祖」と言われていますが、「アニメーションの元祖」でもあり、当時の映画だと思います。
第2位 【 姫路城 】
国宝4城のひとつ、姫路城は世界遺産で国宝。お城の部分が世界遺産で、天守閣の部分が国宝です。姫路城を2位にしたのは、2009年から行われている「平成の大修理」が来年まで続く予定なのですが、ここ数年ずっと工事用の壁に覆われていた天守閣が今年の6月に見えるようになりました。その姿が真っ白で、壁が白いのは想像つきますが、屋根の色まで白いので僕もビックリしました。真っ白の姿も当時のままで、本来の姿が出てきたという訳です。あと2〜3年もすると、また渋い色に戻っていくので、この真っ白な状態が見たければ、今のうちに見ておくべきだと思います。
第1位 【 金印 】
東京国立博物館で10月15日から開催される『日本国宝展』に出品されます。
金印(漢委奴国王印)は教科書に必ず出てくる国宝で、日本人なら誰しも写真、もしくは文章などで見聞きしたことのある国宝だと思います。元々は1世紀に中国の王様が日本の王様に贈ったものだと言われていて、それが江戸時代、18世紀に福岡・志賀島の水田で甚兵衛さんという方が農作業中に出てきたものです。大きさは2.3cm四方で手のひらにのるサイズ。それに蛇がとぐろを巻いているような取っ手が付いています。発見された当時から国宝で、それからずっと大事に守られてきました。
以上、いわきりなおとさんがセレクトした『この秋見ておくべき国宝ベスト3』でした。
その他、この秋に見ておきたい国宝はまだまだあります!京都では頼朝像が公開されますし、土偶も今まで4つが国宝に指定され「4大スーパースター」と言われていた中に、もうひとつ、8月に国宝に指定されたばかりの5番目の土偶「仮面をした土偶」が新しく加わりました。あとは、仏像を彫っていた運慶が作った中でも一番有名な「八大童子」と呼ばれる像が勢揃いする展覧会があったりと、とにかくこの秋はたくさんの国宝が見られるチャンスです。
今日は【この秋見ておくべき国宝ベスト3】をご紹介しました。