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あの芥川賞作家の2作目がいよいよ…!(2017/5/11)

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木曜日は「カルチャー」。


今日はまず、全国書店ネットワーク「e-hon(いい、本)」の
5月10日付「本の総合ランキング ベスト3」をご紹介します。



第3位 『 君の膵臓をたべたい 』住野よる(双葉社)

ある日高校生の“僕”は、病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイト・山内桜良の秘密の日記帳だった。そこには、膵臓の病気で彼女の余命は残すところわずかだと書かれていた…。


第2位 『 応仁の乱−戦国時代を生んだ大乱 』呉座勇一(中央公論新社)

室町幕府はなぜ滅びたのか。高い知名度とは対照的に、実態が十分に知られていない大乱を読み解く意欲作。


第1位 『 劇場 』又吉直樹(新潮社)

作家・又吉直樹さんの2作目。発売日は5月11日ですが、早くも第1位に!



以上、「e-hon」の5月10日付「本の総合ランキング ベスト3」でした。
「火花」で芥川賞を受賞した又吉直樹さん。「火花」は、芥川賞受賞小説としては最多の発行部数209万部を超えたそうです。ただこの1作目の受賞と大ヒットを「人気タレントだから」と見ている人もいるでしょう。
今日は、そんな又吉さんの新作「劇場」をすでに読了した、三省堂書店神保町本店 文芸担当の大塚さんの書評を伺いました。


今回は若い、20代のふたりが出てくる、本当に純粋な恋愛小説です。
前作の「火花」は、お笑いをやっているふたりが登場人物の中心になっていましたけれど、今回の「劇場」は、ストレートに恋愛を描いているというところで、「火花」とはまた全然違ったものになっていまして、劇団をやって、その中で自分の演劇を作っている“永田”という男性が主人公です。その永田が、東京で“沙希”という女性に出会います。彼女も同じように演劇を志して上京してきていて、そこから自分の演劇作りの葛藤と共に、その沙希との関係の移り変わり、恋愛模様をすごく鮮やかに描いた小説となっています。「火花」ではあまり恋愛の要素が出てこなかったので、ひょっとしたら恋愛小説は苦手なのかな、と思っていたんですけれど、男女の心情の機微…そういったものも非常に美しい文章で描ける方なんだということを感じました。

このコメントを聞いて「俄然読みたくなってきた!」という中西さん。大塚さんが「心を鷲掴みにされたシーン」についても伺いました。


冒頭で主人公の永田が渋谷の街をうろついている場面があるんですね。で、そこで沙希と出会うのですが、その出会いの場面がちょっと笑ってしまうようなおかしな出会いだったりするところが、非常に又吉さんらしいなと思ったところと、あとはやっぱりラストですかね。ラストについてはあまり詳しく言わない方が良いと思うのですが、本当に涙なくしては読めない感じだと思います。私は満員電車で読んでいて泣きましたから。

今作「劇場」で、又吉さんは本当に作家としての地位を確実にされたと思います。
素晴らしい小説で、たぶん誰が読んでも自分の青春時代…もちろんいま、青春時代の真っ只中にいる方も、少し前に青春時代は終わっちゃったかな?という方も、一番美しかった、本当に鮮やかだった記憶を思い出す、そういう小説になっていると思います。

又吉直樹さんの新作「火花」は本日発売です。皆さんもぜひ手に取ってみてください。