ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2016年6月26日のショートストーリー

「“おかげさま”という気持ちを持ちなさい」

[ストーリー]

ある日、幼稚園に上がったばかりの娘が、
ぶかぶかの私のパンプスを履き、玄関に立っていた。
何をしているのか尋ねると、ちょっと鼻にかかった声で

「どうも、おかげさまで〜」

どうやら、私のマネらしい。
微笑ましく思うと同時に、
ふと胸に懐かしい思い出がよみがえった。

中学時代、バスケ部だった私は、いつもの練習場所を、
大会を控えたバレー部に譲らなくてはならないことに納得がいかず、
顧問の先生に不満をぶつけた。
すると…

「“おかげさま”という気持ちを持ちなさい」

そして、こう続けた。
キミたちにだって、大会の前は、他の部活や先生、
見えないところで沢山の人が協力してくれているんだよ…。
自分のことばかり考えていたことが恥ずかしかった。

今の私があるのは、いろんな人の「おかげさま」。
まだ幼い娘も、
その意味をよく理解できるひとに育ってほしいと思う。

東京都「トマちゃんママ」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・市川榮里