2025.01.07
すべての人が、 納得して生きて、 最期を迎えられる世界を。
ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。
今週と来週のゲストは株式会社マイシン 代表取締役の原聖吾さんです。
原 聖吾さんは大学の医学部を卒業後、研修医を経験。内閣特別顧問の秘書やシンクタンクを経て、マッキンゼーに入社。
ヘルスケア分野のコンサルタントとして活躍し、2015 年にマイシンの前身となる情報医療を創業されています。
今週は主な事業内容について伺います。まず、オンライン診療サービスの「クロン」を展開されています。このクロンの特徴を教えて下さい。
「普通、お医者さんに診療を受けるというと皆さん対面で医療機関に行ってお医者さんに診療を受けると思うんですが、これをオンラインでできるようなサービスを提供しています。患者さんはスマートフォンのアプリを使って、スマートフォンから問診を入れたり予約をしてお医者さんにアクセスをして、ビデオ通話で診療を受けるということができるサービスになっています。病気は全部の病気を必ずしも見られるわけではないんですけれども、やっぱり元々かかってる花粉症みたいな病気とか、生活習慣病みたいな病気とか、ある程度慢性的な病気であれば、ある程度オンラインでも診療ができるということで、そういう疾患で特に多く使われていっています。」
患者さんは利用料はどのくらいかかるんですか?
「患者さんが1回あたり利用料として330円お支払いをしていて、医療機関は特に導入のコストなどがかからないようになってるので、お医者さんからするとこういうところのコストの負担がなく導入しやすくして、オンライン診療も受けやすい環境というのを作ろうとしていってます。我々も今7000ぐらいの医療機関に使っていただいてるんですけども、そういう意味で医療機関さんにはすごく導入をいただいているサービスになっています。」
これはスマホのアプリとおっしゃってましたけど、今のところスマホアプリだけですか?
「そうですね、スマホのアプリでもありますし、あとはウェブのブラウザでも診療はできるようにはなっています。」
KDDIとも連携されたんですか?
「そうですね、いろんなパートナーの企業さんと連携していまして、例えばJCOMさんという会社と連携をして、テレビを使ってもオンライン診療ができるということで、割と高齢の方でもオンライン診療が受けられるような窓口を作っています。」
時間帯というのはどうでしょうか?
「時間帯は医療機関が診療する時間帯を設定しているんですけれども、やっぱり割と使われる時間帯が多いのは夜間の時間帯とか、医療機関がやっぱりなかなかアクセスしづらいような時間帯に患者さんが受けられるようになっています。」
いいなと思ったのは、ちょっと体調悪いかもぐらいのときに行くっていうのも、例えばその対面じゃないからまず感染とかそういう問題に関してはリスクがもうないと言っていいと思うんですね。一方で自分の体調が悪いわけではないんだけども、病院に行くことが今ちょっと心配だと、いろんな患者さんがいるところに行って打ち合わせもあったりとか、そういうのは心配でまず1回話聞いてほしいときなどはものすごくいいなと思いました。
「やっぱり感染の不安がある方が、持病がより悪くなっちゃうとか、何かそういう心配があったりするときにすごくアクセスしやすいですし、あとは子育てされている方とか介護でご両親、親の面倒見ている方、そういう方がご自宅にいながら診療を受けられる、あるいは病気の親御さんをオンライン診療を受けていただくとか、子供にご診療を受けていただくとか、そういうこともできます。」
オンラインで診療を受けて処方箋とかもいただけるんですか。
「そうですね、処方箋は薬局に連携をして、近くの薬局に取りに行く、あるいは薬局から送っていただくということもできます。」
会社を作られたのが2015年ということで、このオンライン診療の分野、2015年はかなり早い試みだったと思うんですけどもいかがでしょうか?
「そうですね、当時はまだ本当にオンライン診療という言葉もあまりないタイミングで、我々もいろんなドクターにこういうものを進めていったんですけれども、いやいや、診療って対面でやるものだから、オンラインの中ではできないよというような反応もすごく多くてですね、なかなかまだまだ当時は広まるの時間がかかりそうなタイミングではありました。」
始めたきっかけとか何かあったんですか?
「元々いろんなものがオンラインで買えるようになっていく世界が進んでいる中で、診療も例外ではないだろうなと。やっぱり患者さんからすると、時間や場所に依存しないで医療を受けられるというのは誰も求めているところだなという思いがありましたので、そういう観点で元々興味を持っていました。でちょうど2015年のタイミングでこの制度が変わる潮目があって、そうするとオンライン診療がもう少し広く使えるようになりますと、これ広がってくるだろうなということでこの領域まだ誰もいなかったんですけれども、新しくこういう領域でチャレンジを始めています。」
オンライン診療からデータも集めることができると考えたそうなんですけれどもこれはどういうことですか?
「これもオンラインでいろんなものをやり取りするようになるとそこからいろんなデータがおのずと蓄積されていく。例えばオンラインの診療であれば、患者さんがどういう表情でどういう症状を訴えてるかとか、医者がそこに対してどういう言葉をかけているかとか、こういうものもデータになっていくので、対面の場合はデータにならず消えていってるものがオンラインで診療するとそういうものがデータとなって蓄積されていく。こういうものを生かしていくことができるんじゃないかというふうに考えました。」
そのデータはどういったところで活用できるんですか?
「まだ我々はそういう意味では十分に活用しきれていないんですけれども、将来的にはお医者さんと患者さんってこういう方たちが本当はフィットが高い、マッチするなとか、こういったときにどういうふうに患者さんに声をかけると患者さんってこういうふうに行動が変わってくるなとか、そういうことがもっともっとわかってくるようになりますし、それで医療の質ももっと上げていくことができるんじゃないかなと思っています。」
これって先生をこちらから選ぶこともできるんですか?
「そうですね。患者さんはこのアプリ上でかかりたいに医療機関を選んで、それで受けることができます。」
実際利用した患者さんやお医者さんからは何か感想などを聞いてますか。
「そうですね患者さんはいろんなパターンの方がいるんですけれども、やっぱり働いていてお忙しい方々、花粉症とか生活習慣病の方々が、なかなか医療機関に行く時間がなかったんだけども、オンライン診療で診療を受けることができたという声があったり、あとはやっぱり先ほどの子育てとか介護の親を抱えているような世代の方が、そういうお子さんを医療機関に連れていくというのは難しいという中で、私も自分の子供を診療するとき本当に便利ですね。やっぱり医療機関で行ったり待ったりする時間ってすごくかかると思うんですけど、自宅でお仕事しながら診療の時間になったらオンラインで繋いで、医者に見てもらってるとそれはもうすごく便利ですね。」
オンライン診療の利点として、推してるポイントっていうのはどこでしょうか?
「やっぱり、なかなか医療機関に足を運ぶのが物理的に難しいとか、時間的に心理的に難しい、そういう方がそこの垣根を下げて医療機関を受けられるというところが推しているポイントですね。やっぱり医療機関ってどうしてもなかなか足が向きにくくなったりとか、次またここ受診してねと言われても、行かなかったり健康診断で指摘されても行かなかったり、そういうことがあると思うんですけど、行かないよりはオンラインで診療を受ける、これで対面で行かなかったとしても、少なくともドクターとそこで接点を持って、何か異常があるようであれば、その後対面で来てねということで繋げたりもできますので、そういう活用の仕方がいいのかなと思います。」
「クロンスマートパス」というサービスもあると伺ったんですが、これはどういったサービスなんですか?
「これはですね、オンラインではなくてオフラインのサービスで、イメージとしてはこのタクシーの配車アプリのクリニック版みたいなものをイメージしていただければと思うんですが、医療機関って患者さんの待ち時間が最大の不満なんですね。で診療終わったのに会計までずっと待ってるってことあると思うんですけど、これがこの仕組みを使うと、もう診療終わるとそのまま立ち去れますと、会計はもうオンラインでやっておくのでということで、もうこれも患者さんの医療機関の通院体験をものすごく良くするサービスです。QRコードを医療機関の受付に置いていただいてるので、それを読み込んで、患者さんご自身の情報と、クレジットカードを登録すると、診療が終わったらもう帰れます。」
今週はここでお時間となってしまったんですが、最後にこれまでに乗り越えてきたハードルを教えてください。
「やっぱり新しい領域のサービスを作っていくので、なかなかこの受け入れが進まないというところがすごく難しさとしてあると思います。さっきご質問いただいたオンライン診療を始めた当初って、お医者さんも全然オンラインで診療なんかできないよという方がもうほとんど、99%そういう反応だったんですけれども、少しずつ、でも患者さんって将来こういうの必要だよねということを進めていく中で、お医者さんの考え方もだんだん変わってきたなと思っていて、コロナの影響もすごい大きかったんですけど、今ではもう多くの患者さん、先ほど7000ぐらいの施設使っていただいてると申し上げましたけれども、そういうドクターの方々が使うようになってるというのは、やっぱりそういうハードルが少しずつ変わってきてるなというところで、進めていっております。」
株式会社マイシンの原聖吾さんにお話を伺いました。来週もよろしくお願いします。