2024.11.05
さらなるアコヤ真珠の魅力を
ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。
今週と来週のゲストは、株式会社サンブンノナナ 代表取締役社長の尾崎ななみさんです。
尾崎ななみさんは三重県伊勢市のご出身。高校卒業後に上京。モデル・タレントとして活動後、企業の商品プロモーション企画・運営を行う会社を設立。また、「伊勢志摩アンバサダー」としても活動されています。
先週は主な事業を伺いました。形が不揃いで流通に乗らなかった真珠を加工を施さず、その見た目から金魚真珠として製品化。真珠の新しいトレンドを作っていらっしゃいます。今日は尾崎さんのこれまでについて伺っていきたいと思います。おじい様が地元伊勢で真珠の養殖をされているというお話を先週伺いました。ご両親も真珠関係のお仕事されてるんですか?
「両親はしていなくて、祖父と孫という組み合わせなんです。」
実際にお手伝いするようになったのはこの金魚真珠からがきっかけだったんですか?
「そうですね、おじいちゃんはもう昔からしていってこの道72年なんですけど、やっぱりおじいちゃんの仕事っていうイメージだったので、もうまさか手伝うとはっていう形ですね。」
尾崎さんご自身、真珠はやっぱり身近な存在だったんですよね。
「もう生まれたときから横に真珠があるっていう状態なので、家にいっぱい転がってました。今考えるとびっくりなんですけどおじいちゃん結構その辺に置いてたりしたので。」
将来こうやってお手伝いというか一緒にねお仕事されるとは思ってなかったんじゃないですか?
「やっぱりびっくりしてますし今もやっぱりあの喜んでくれてますね。こうやって私今東京と三重と言ったり来たりしてるんですけど、三重に帰る頻度がすごく増えたので、やっぱりそれが嬉しいと言ってくれています。」
先週伊勢志摩アンバサダーとして活動を始めてからおじい様の真珠のお仕事を手伝うようになったというお話を伺ったんですが、手伝おうと思った具体的なきっかけやタイミングというのはあったんですか。
「10年前に三重と東京を行ったり来たりするというお仕事が始まったんですけど、地元のことを私も知っているようで、人に話すってなったときにやっぱり詳しく説明をしていかなきゃいけない、そこで伊勢志摩の特産品がアコヤ真珠なんですけど、祖父がしているにも関わらず詳しく話ができないということに気づいて、やっぱり知ってるようで知らないことを自分もあるなと思ったので、おじいちゃんに引っ付いて1年かけて真珠の養殖はどうやってやっているのかというのを学びましたね。修行で修行に入らせてもらったみたいな感じですね。」
おじいちゃんは厳しいですか?
「割と厳しいのと、職人さんならではでちゃんと言葉で説明せずに感覚でこうしてるから見て覚えろ、これをこうしてとか言われると、いやこうがわかんないという中なので、本当に見ながら自分も体験して学ぶという形ですね。1年かけてしている仕事が実は違うんですけど、まず核を入れるためにアコヤ貝を育てるということが大事なんですよ。で貝を育てるのにまず2年かかるんですね。最初顕微鏡で見なきゃいけない小さなサイズから手のひらサイズになるんですけど、あそこまで2年かかって、そこから貝殻を丸くした核というものを入れるんですね。それを入れて、あと一緒に細胞(外套膜)を入れるんですけど、そこから真珠層がそこに巻き付いて真珠ができるんですね。」
一つのアコヤ貝からいくつぐらいの真珠ができるんですか?
「一つです。なので1個の貝に1個の真珠、取り出してしまったときが一生を終えるときなので、でも1個入れるんですけど確実にできるってことはないので、貝が途中で死んでしまうと真珠もうまくできないです。あと海が死んじゃうとパカッと開いちゃうんですよ。なので真珠がぽっと海の中に落ちちゃうんですね。」
いつか自分で起業したいみたいな思いというのはあったんですか?
「いや全くなかったですよ。本当にブランドを作ろうってなったので、ブランドを作るにあたってもう会社を立ち上げようと必然的になったという形ですね。」
会社を立ち上げる作業は大変でしたか?
「会社を立ち上げるのはもう事務手続きなんですけど、やっぱりブランドを作る方が大変でしたね。ブランドをしっかり作るとなったときに、私が特に扱ったのが流通しない真珠を本格的なジュエリーにするというのがやはり大変なんですよね。皆さんは価値がないと思っていた真珠に私は価値があると思ったので、そこをどう見せるかってすごく大変なんですよ。なので安く仕入れて安く売るということは一番簡単なんですけど、そうすると生産者さんたちにプラスにならないので、やはり地域の皆さんにどう貢献できるかというのを考えるときにブランディングをしっかりしたんですけど、それがもう独学だったので、もうひたすら本を読んでいろんな小物作り、どうやっているかというのにまず2年ぐらい実はかかったんですね。やっぱりオリジナルの箱を作って商品化するっていうのには、ちょっと時間を使いましたね。」
ご実家がおじい様が真珠をやられてるプロですから。真珠の業界って多分大きさとか、丸さとか色とかでも金額が全然変わってくるんですよね?
「ですよね。同じ真珠でも本当に値段が全然違うんですよ。なので真珠自体私もまず勉強からスタートだったし、この目利き、どれが良い真珠なのかというのも本当にひたすらおじいちゃんのもとで何回もトライアンドエラーを繰り返しました。」
そんな中でも売り物にならないとされていた真珠を売ろうということで、おじい様始め同業者の方からはどういった反応がありましたか。
「善し悪しがやっぱりあって、流通しなかった真珠ってのはやっぱり生産者さんのもとに留まってたんですよ。なので生産者さんたちはやっぱり買ってもらえるっていうのは一つプラスになるので、とても喜んでいただきました。で販売している企業の方たちからしたらやっぱり丸いものがアコヤ真珠とふうに今までも出してきたので、やはりそれ以外の真珠を流通させるっていうことに、嫌だなって思われる方も正直いらっしゃったので、やっぱり私としては形はいびつだけど品質をしっかり守るということをしてきたので、だんだんやっぱり皆さんちゃんと理解していただいて、今ではそこまでいろいろと言われることはなかったですけど、最初は賛否ありました。」
イメージしてきた真珠の形と違うってだけではじかれるっていうのはこれも真珠なのにっていうところですよね。
「そうですね、まさに同じように育ててきてるのにって言ったら販売業者さんが、これは売る・売らないで決めてただけなんですね。なので私は丸いものも売ってますし、いびつな形も売ってるんですけど、選んでいただく方の好みでどっちがいいですかっていうふうに出してるんですね。まさに時代があって来ている、個性を大事にしようっていう時代じゃないですか。でやっぱりエシカルの時代なので、同じようにあるもの、これをどう流通させるかっていうのは、新しいものを作るだけがエコじゃないなと思ってるので、どんどんどんどんあるものを生かしていきたいなと思っています。」
オンライン販売以外にもジュエリーショップに置いてもらうということも大事になってくると思うんですけど、営業とかそういったことはどうされたんですか?
「実は営業はいないんですよ。私とおじいちゃんが中心となっているものなので、今回営業というものはしてないんですけど、地元の宿の方たちがやっぱ地元のものを置きたいというふうに声掛けをしてくださって、そこで今三重県の志摩市にある宿2ヶ所に置かせていただいてるんですけど、なのでホテルで宿泊された方は基本的には地方からの皆さんがいらっしゃるので、そこで地産地消っていう形で展開させていただいてるんですけど、やっぱりそういったお声がけをいただいたというのはすごくありがたかったですね。皆さん観光地なので伊勢志摩にも旅行にたくさん来てくださるんですけど、やっぱりその地元のものが欲しいという方がすごく多いんです。」
最後の質問になるんですが、これからの夢は何ですか?
「そうですね、私はやっぱりアコヤ真珠というものと共に生きていきたいなと思ってまして、まだ世に出ていない見せ方で、アコヤ真珠の魅力をどんどん発信していきたいなと思っています。」
株式会社サンブンノナナの尾崎ななみさんにお話を伺いました。ありがとうございました。