三協フロンテア presents The Starters(ザ スターターズ)

パーソナリティ ユージ・吉田明世20代~30代の若手起業家をゲストに迎え、
彼らがどんな発想や未来への展望を持ってブレイクスルーを起こそうとしているのかお話を伺います。
高い意識とモチベーションで社会に風穴を開けようと取り組む彼らの話が、
「あなたも、世の中を変えられる!」という、
朝、仕事へ向かうビジネスパーソンのやる気のカンフル剤になることを目指してゆきます。

Guest ゲスト

2024.10.08

こころの問題の偏見をなくしフラットに

株式会社カケミチプロジェクト
代表取締役
岡琢哉さん
児童精神科専門の訪問看護ステーション「ナンナル」を展開



ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。

今週のゲストは先週に引き続き、株式会社カケミチプロジェクト 代表取締役の岡琢哉さんです。
岡琢哉さんは1987年生まれで児童精神科医をされています。岐阜大学医学部附属病院精神神経科などの勤務を経て、2021年から「カケミチプロジェクト」の代表取締役として、インターネット上の情報発信や地域での支援事業を展開されています。

先週は主な事業について伺いました。児童精神科は子供の心を見るお医者さん。日本ではまだ専門家が少なく病院も限られます。そこで、東京エリアを中心に「ナンナル」という訪問看護サービスを展開されています。岡さんは医学部に入ったときからこの児童精神科を目指されたんですか?

「元々私は精神科医、中でも思春期とか、子供の心を扱う医者になりたいなと思って医学部に入ったので、そういう意味では最初からはいこれを目指していました。」

さらにちょっとさかのぼるんですけど、その人の精神的な部分とかを見る医者になりたいと思ったきっかけはあったんですか?

「中学校のときに仲良くなった友達が、実はうつ病があるんだってこともある日告白されて、そのときに普通に一緒に遊んだりとか、仲良く話してたりとかそういうことがあったんだけど、やっぱりどこかでものすごく自分のことを傷つけたくなったりとか、すごくつらそうなときもあったりして、そのときにどう付き合っていったらいいんだろうというのだけじゃなくて、やっぱり同年代でこういうふうになるっていうことが特別なことじゃないんだなっていうふうに思ったんですよね。それでできることを考えたいというのともっとオープンになったらいいんじゃないかなみたいなことを考えて、こういう業界に入っていったというところはありますね。その友達は今も仲良くやらせてもらっていて、今も元気にやってるので。」

実際児童精神科医として大学病院などにも勤務されているんですよね。現場で感じた課題とか思ってたものとちょっと違ったなっていうところとかってありましたか?

「思ってたところで違うっていう意味では、そもそも心のことを取り扱うみたいなことを考えて医学部入りましたけど、やっぱり体がメインなんですよね病院って。どうしても治療とかも薬の治療がメインになってしまうというところはあったので、やっぱり時間がないというのが何よりもですね。だから話を聞くとかそういう治療するのって本当はすごい時間かけてやっていかないといけないことなんですけど、それがやっぱりできないという現実にぶつかったっていうのは大きかったですね。」

そういった課題を解決するために訪問看護をされたんですね。

「そうですね、訪問看護もスタッフも忙しく働いてもらってるんですけど、それでもやっぱり30分ぐらいは家の中での時間というのを作れるので、きちんとやっぱりそういう何ていうんですかね安全安心でゆっくりとした時間を過ごすみたいなことを医療の枠の中で提供できるサービスが作れるというのは大きかったかなと思いました。」

実際にその訪問看護をする上でやっぱ手応えを感じたんですね。

「事業を始めるきっかけとして、まず大人の訪問看護さんに入ってもらったっていうのがあるんですよね。そのときに訪問看護の人と連携すると結構できることいろいろあるなというふうに思ったんですよね。ただやっぱり専門が大人なので、どうしてもちょっと人が変わっちゃうだけでできなくなっちゃうこととかがたくさんあったので、そういう意味で自分でやるってなったときは、今いるここにいるスタッフが、どのスタッフが行ったとしても同じぐらいの質のサービスが提供できるみたいなことを目指していけると、そのとき難しかったことができるようになるかなと。」

そこから「ナンナル」を作ることになったんですか?

「そうですね。自分としても何かできることないかなとモヤモヤしてた時期に、一緒のことを目指してくれる人たちと出会えたというのが大きかったので、それで立ち上げに至ったというところは大きいですね。」

どの先生が行っても違う先生の良さがあるとは思うんですけど、ある程度クオリティを確保する人材集めって結構難しくないですか?

「結構そこは会社として一番大事なとこだと思っていて、去年から教育部門というのを作って、教育専門のスタッフというのを1人つけて、スタッフの相談に乗ったりとか、あとは毎月勉強会とかもやってるのでその勉強会のテーマを決めたりとかそういったことで、何とか質を担保していきたいなというふうに思っています。」

訪問看護だからこそ、状況が良くなったりとか元気になったお子さんというのもいらっしゃいますか?

「そうですね、なかなかやっぱり最初はスタッフが会えない子とかもいるんですよね。会いたくないとかそもそもなんで来ているかもわからないという場合もあったりするし、やっぱり親御さんのニーズで来るっていうことも大きいので、最初は親御さんと一緒に話すことが多いんですけど、その中で少しずつスタッフの方からお手紙とかを置いてったりとかして、会ってみようかなっていう気になってきたりする子もいるんですよね。なかなかもちろん会えない子もいるんですけど、会う気になってくれた子とか、実際に会う中で少しできることが増えていったりとかそういうケースは出てきてるので、やっぱり意義があるなと思ってやらせていただいてます。」

コロナ禍によって出かけられなくなってしまって、心的につらい思いをしたって人はいっぱいいると思うんですけど、実際にコロナ禍でケースが悪化してしまった、もしくは何かその影響ってあったんですか。

「一番は良くも悪くもですけど、学校に行かないっていう選択肢が増えたんですよね。要は学校に来ないでください、集まらないでくださいというのができたのと、学校の方がやっぱオンラインでの授業参観みたいなのとかオンラインのものを提供したりしてくれるようになったので、それは行くことへのプレッシャーが下がったっていう面ではすごくいいことなんですけど、今度は行かなくてもいい、じゃあそのまんまの状態で逆に安定しちゃって、次の一歩が打ち出せないみたいなところになってきてしまってるのは今の時期の課題なのかなみたいなことは見ていて思います。」

コロナ禍で外に出られなくなった人の中には、このスタイルがいい、人と会いたくない、マスクもつけっぱなしがいい、顔も見られたくないみたいな方になっちゃった人も結構多かったって聞いたんですけど、そういった受診とかもあったんですか?

「そうですね、私一応大人の外来もやってますけどでも、大人の方がやっぱり長引かないというと言い方はおかしいですが、嫌だけど結局今出社しなきゃいけない状況になっているので、ただ一方でリモート勤務の希望を出したりとかそういう形でちょっと動いてるなという感じがしますね。どちらかというとやっぱり子供の方が選択肢が少ないので、さっき言ったリモートの授業も実際はただ学校とカメラが繋がってるだけみたいなのはほぼ意味ないなと思ってて、子供たちの場合はそれがもう一歩進むと、もっといいのになみたいなのは思ってますね。」

同業者の先生たちともこういった話をしたり、同じような動きをされている先生もいらっしゃるんですか?

「ドクターで同じように事業所を立ち上げるっていう方はやっぱりあんまりいなくて、どちらかというとやっぱこういうことをやりたいっていう看護師さんが、うちが早かったですけど他にもこういった事業所を立ち上げようとされてる方とか、あとは既にある事業所で子供のことも見ていきたいっていうふうにおっしゃってる方とかは少しずつ増えてるような印象を受けます。」

今後児童精神科というのはより重要になってくると思いますか?

「少子化な一方で、子供をやっぱり大切にしなきゃいけないみたいな風潮は出てきてると思うので、その中で子供とどう関わったらいいかとか、子供の問題というのはフォーカスが当たるようになってきているので、そういう意味で需要は今後も増え続けるんじゃないかなと思ってますね。」

「子供が声を上げやすくするというのは絶対やらなきゃいけないことで、子供が自分でかかりたいって言えるようになるのってどうしても小学校高学年とか中学校入ってからなので、でも中学生とかで自分でかかりたいと言える子が増えてきているというのは事実だと思うので、そういったことに答えれる場所とか人が増えていけばいいかなというのは思っています。」

最後になりますが、これからの夢を教えてください。

「そうですね、精神科をやっていると、まだまだやっぱり偏見がある業界だと思っているので、こういった偏見が本当になくなって、みんながフラットにこういった話題ができる世界を作っていけたらいいなと思ってます。」


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