2023.09.19
アナログな業界をデジタルで活性化
ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。
今週と来週のゲストは、株式会社ザブーン 代表取締役の戸高克也さんです。
今週は事業についてうかがいます。
株式会社ザブーンは海事産業におけるDXを目指しているスタートアップとのことですが、海事産業とはなんですか?
「海事産業は海運業や造船業、舶用工業といった船を中心した産業です。その中でも海運業は船を利用した海上輸送で、国際物流にはなくてはならない存在です。現在世界では約12万隻の船が運行していますが、そのうち1万隻が日本で運航しています。つまり世界の8%が日本市場になります。日本では特に愛媛県の今治市がさかんで、船主さんが多く、世界4大船主の街と言われています。」
そんな海事産業でどのようにDX化を行なっているのでしょうか?
「私たちが開発する『MARITIME 7』でDXを進めています。これは船舶管理という業務をデジタル化するサービスで、例えばコンテナ船やオイルタンカーなどで、スケジュール管理、船の保守、予算、安全など、船員管理をおこなうものになっています。」
「MARITIME 7」 の特徴はどういったところですか?
「機能の一つとして船員の勤怠管理の機能があります。これによってスマホやタブレットによってワンタップで記録することができます。また、船の上では陸上とは違った労働法、船員法というものがありますが、MARITIME 7は導入するだけで船員法を網羅する仕組みになっています。」
海の上で電波が届かなくても大丈夫なんですか?
「出航するとほとんど電波がなくなるのですが、MARITIME 7は出航してオフラインになった時でもほとんどの機能を使用することができます。」
MARITIME 7を作った背景にはどんなことがあるのでしょうか。
「作った背景として、人材不足とアナログな業界という点がありました。人材不足は陸上と同様ですが、ITの導入が非常に遅れていて、より大きな問題となっています。現状はまだ日本の99.6%の輸出入が海運になっていますので、社会的に重要な産業がなくなるとかなりキツくなります。私もずっと船舶管理をやっていたんですが、その中で日本での重要な産業で、今後のためのスタンダードを作りたいと思い起業しました。」
MARITIME 7はいつ発売されたんですか?
「去年の6月下旬に発売して、現在まで4000名弱の船員さんにご利用いただいています。非常に満足度が高いというのと、1人の作業がなくなったという声もいただいています。先週位置情報の管理をリリースして、次回は船の備品などの発注をシームレスに行う機能を追加する予定です。」
最後に、これまで乗り越えてきたハードルを教えてください。
「あまりハードルとして意識したことはないんですが、あえて挙げるとするならば言葉の壁ですね。日本語だけでないのと、業界的な専門用語もあるので、それに対応するのには苦労しました。」
株式会社ザブーン 代表取締役の戸高克也さんでした。ありがとうございました!