2024.11.19
あらゆる人に、パーソナライズされた食を届ける
ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。
今週と来週のゲストは株式会社シェアダイン共同代表の井出 有希さんです。
井出 有希さんは高知県のご出身。大学卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社し、株式アナリストとして活躍。その後、転職などを経て、2017年にシェアダインを創業されています。
先週は主な事業について伺いました。シェアダインは出張料理・作り置きを依頼したいユーザーと、料理の知識や経験・スキルを活かして働きたいシェフをマッチングする出張料理サービスです。今週は起業される前後のお話を伺っていきたいと思います。
ゴールドマンサックスで株式アナリストとして活躍されてたんですね。具体的にどういうことやるんですか?
「上場企業のある業界を担当して、この業界はこうなっていく、その中でこの企業はどういう業績をもたらすだろうから今の株価はそれに対して買いですよとか、今はやめておきましょうといった判断をレポートで出す仕事です。」
全く違う業界に行きましたね。
「元々大学で経済学を学んでいたので、そういう世界を見てみたいなと思って就職したっていう形です。」
いつか起業しようって思いはずっとあったんですか?
「全くないです。ただゴールドマンサックスですとか、そのあと私コンサルティング会社にも転職しているんですけれども、そこで自分で起業する人たちっていうのが周りにちょっとずつ増えていた時代でもあったので、考えてないと言いましたけれども周りにいたというのは影響としてはあったかなっていうふうに思いますね。」
結局その後、今のお仕事に繋がるわけですけども、起業しようって思いになったのはいつ頃なんですか?
「コンサルティング会社で勤めていたときに、妊娠・出産を経験するんですけれども、それまで証券会社で働いてたときに全然食事に対して気を使うことはほとんどやってなかったんですけれども、妊娠したときとか、あと子供が実際に生まれた後に、初めて何かちゃんとしたもの食べなきゃとか子供が生まれたらいろんな味知ってもらいたいなとか、食生活ちゃんとしたいなっていう思いが生まれて、その中で仕事とその家庭のことをやるっていうバランスにもすごく悩んだということと、子供が少し2歳とかになってきたタイミングで、すごい偏食だったんですね。何にも食べてくれない、鶏の唐揚げしか食べてくれなくて、この子鶏の唐揚げしか知らなくなったらどうしようって心配になって、結局それ以外作っても食べないからつくらなくなるんですんですよ。これで本当にいいのかみたいな悩みがすごく生まれて、仕事もしながらだったから自分でもなかなか工夫もできないしというところで、これは専門家の人に悩み相談をして作ってもらえるようなサービスがあったらすごい自分は助かるなって思ったのが最初のきっかけでした。」
こういったサービスはどのように広げていったんですか?
「元々本当に子供のための食事を作り、助けますというサービスで最初展開していた中で、ある時からご自身の家族に糖尿病の人がいるから、そういう方の食事を作っていただけますか?とか、生活習慣病に悩んでいるからそれの専門のシェフを紹介いただけますか?という問い合わせがすごくたくさん増えてきたんですね。一方私達の登録の政府の中にも、病院で経験を積んだ管理栄養士とか、そういう専門的な人もすごくたくさんいて、この方たちマッチングしたらすごく助かる人たくさんいるんだと、何も家庭料理というのは子供のための食事ではなくて、誰かの大切な誰かを思って作るものが家庭料理だから、あらゆる世代の人に使えるサービスにしようというところで、途中からあらゆる世代の方向けにというふうに展開してきました。」
コロナのときなんかは外食産業が大変だったと思いますけれども、影響というのはありましたか?
「使い手の方がやはり人を家に入れないみたいな、非接触みたいな話が出てきた中で、私達もこれは大変だなと思って、まずその需要側ですね、例えば栄養管理をもっと気をつけて健康的な食事をしましょうと、それには管理栄養士さんの力を使いましょうみたいな形で打ち出していったりとか、あとはコロナ禍でですね、素敵なレストラン、素敵なホテル、有名ホテル出身のシェフの登録が激増したんです。飲食業界大変だったので、結果として私達の方でもおうちレストランみたいなコンセプトを打ち出して、レストランは行きにくい、でも素敵なシェフがご自宅でレストランのような食事を作りますよ、という形でキーワードをいくつか健康とかおうちレストランとかっていうキーワードを作り出していきました。あとはコロナのときは初めは休校休園が急に決まったので、お子様の食事作りも私達がやりますよみたいな、私達はそれをチャンスにしないといけないと思って展開してきました。」
スポットシェフという飲食店向けのサービスもスタートされたんですか?
「はい。実はコロナが少し落ち着いたときに飲食店の方たちが、通常はちょっとダウンサイジングしたんだけれども、予約がたくさん入った日だけ、シェアダインに登録しているシェフに来ていただけるかという相談が入って、後は私達の方としてもコロナ禍で本当にたくさんのシェフが登録をしてくださったので、やはり1店舗だけではなく複数のことを経験したいというシェフの声がたくさん入ってきたときに、仕事をたくさん用意したいっていう思いもあって、これをマッチングすることで、そういう世界が実現できるのかというところで、飲食店の人手不足とシェフの方でいろいろなキャリアを作っていける、新しい働き方を生み出すというところがマッチングするというので今スポットシェフも立ち上げています。」
あっちに呼ばれてこっちに呼ばれてとスポットで入ることによって、いろんな店のこのノウハウを少しずつ学べるという経験値アップになりますよね。それが最近新しく始めたサービスになるんですか?
「はい、そこに繋がっていきます。料理人の自分のキャリアを登録できるキャリアSNSとしてシェフリンクを立ち上げました。自分の経験がそこで積み上がっていったり、自分のプロフィールとかポートフォリオを登録して、キャリアの幅を広げていくことを支援するサービスです。」
このサービスを始めてから気づいた日本の食生活の変化や見えてくる食の流れって何かありますか?
「昔よりアレルギーの方が増えたりとか、家庭の中に食の制限がある方、例えば糖尿病とか、そういう方が昔より多分増えているので、個々に合わせた食事作りを家庭が担うというのは昔よりハードルが上がってる、難易度が上がってるんと思うんですね。そこをプロの手でか助けるっていうのは一定合理性があるなというふうにも思ってます。」
最後にこれからの夢を教えてください。
「あらゆる人に、パーソナライズされた食が届くという世界を早く実現したいということと、シェフの人が自分のキャリアを自由に作っていけるということをやっていきたい、そういう社会を作っていきたくて、シェフになる=シェアダインにとりあえず登録するという、一定の既存概念みたいなのを早く実現したいなと思っています。」
株式会社シェアダインの井出 有希さんにお話を伺いました。ありがとうございました。