1月19日 ゲーテと歌曲
14/04/15
1月第3週の1月19日は、ドイツの文豪、ゲーテによる戯曲『ファウスト 第一部』が初演された日です。『ファウスト』といえば、悪魔に魂を売り渡したファウスト博士の伝説を基に、ゲーテが書きあげた戯曲。様々な芸術家に影響を与え、19世紀の作曲家たちも、こぞってこの物語に曲を付けています。ファウスト以外でも、ゲーテの詩や文学は、多くの作曲家のインスピレーションを刺激し、ゲーテの詩に基づく歌曲も数多く存在します。今回は、音楽の世界から少し枠を広げ、文豪・ゲーテの生涯、そしてゲーテに関連する音楽作品をご紹介しました。
ゲーテといえば、ドイツを代表する作家・詩人・科学者・政治家。シラーと共にドイツ文学における古典主義時代を築き、25歳のときに出版した『若きウェルテルの悩み』でヨーロッパ中にその名を轟かせました。大作『ファウスト』は20代から死の直前まで書き継がれたライフ・ワークです。その一方で自然科学者として「植物変態論」『色彩論』などの著作を残しています。文学から科学まで、あらゆる学問領域に精通し、政治家としても手腕をふるったゲーテ。その多彩な才能や生き方は多くの人を惹き付け、当時の音楽家にも多大な影響を与えています。今回ご紹介した『ファウスト』は、オペラだけでも50もの作品が作られました。
そのほか、多くの作曲家がゲーテの詩をもとにした作品(主に歌曲)を遺しています。中でも有名なのは、歌曲王として知られるシューベルトでしょう。生涯にわたり600曲もの歌曲を遺したシューベルトですが、そのうち約70曲がゲーテの詩がもとになっています。最後にご紹介したのは、シューベルトの代表作でゲーテの詩をもとにした『魔王』です。皆さん一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
【オンエア楽曲】
♪M1シューマン:ゲーテの「ファウスト」からの情景より 序曲
指揮:ヨハネス・ヴェルトナー、ポーランド国立放送交響楽団
♪M2ベルリオーズ:<ファウストの却罰>より ラコッツィ行進曲
指揮:レナード・バーンスタイン、ニューヨーク・フィルハーモニック
♪M3シューベルト:魔王(詩 ゲーテ、訳 松本隆)
テノール:福井敬、ピアノ:横山幸雄