ON AIR REPORT オンエアレポート

4月7日 ベートーヴェン特集①

13/04/29


4月7日は、ベートーヴェンの最も重要な作品の一つ、《英雄》が初演された日です。ベートーヴェンが1804年に完成させた、3番目の交響曲。初演時は、(当時の感覚からすると)あまりに長大で、観客には不評だったそうですが、革新的な作品であり、時代を先取りした音楽だったことは間違いないでしょう。さて、そんなベートーヴェン。音楽史上、最も重要な音楽家の一人であり、僕にとってもショパンと並び重要な演奏の柱の一つです。今年9月を皮切りに大規模なベートーヴェンシリーズを予定しています。今回から数回にわたり、改めてベートーヴェンの生涯と作品を取り上げていきたいと思います。

まず1曲目にご紹介したのは、ベートーヴェンが12歳で初めて出版した作品です。作曲の師匠であるネーフェの勧めで作曲したと言われています。ネーフェが寄稿した1783年の雑誌記事では、ベートーヴェンは「最も将来を嘱望される才能の持ち主である」と紹介され、「第2のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトとなること間違いなし」という賛辞を受けたといわれています。続いてご紹介したのは、13歳になったベートーヴェンの作品、《選帝侯ソナタWoO.47》より第1曲。選帝侯ソナタという名称は、この作品をベートーヴェンの父親がケルン大司教(選帝侯)マクシミリアン・フリードリヒに献呈させたことから、後世つけられたものです。わずか1年の差ですが、ずいぶんとベートーヴェンの作風も進化していった跡が見られるように思います。この曲は、僕にとっても最初に勉強したベートーヴェンの作品の一つです。そしてベートーヴェンが24歳で満を持して「作品1」として世に発表したのが《ピアノ三重奏曲Op.1》です。そして翌25歳、作品2としてピアノ・ソナタを3つ作曲しています。その後は生涯にわたって革新的な作品を作り続けて行くわけですが、こうして改めてベートーヴェンの原点を見つめたり、あまり知られていない作品に光を当てることも重要だなと改めて思いました。


【オンエア楽曲】
♪M1 ベートーヴェン《エロイカの主題による変奏曲とフーガ》
   ピアノ:横山幸雄(『ベートーヴェン12会』より)
♪M2 ベートーヴェン《ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲WoO.63》
   ピアノ:ミハイル・プレトニョフ
♪M3 ベートーヴェン《選帝侯ソナタWoO.47》より第1曲、第1楽章
   ピアノ:イェルク・デムス
♪M4 ベートーヴェン《ピアノ三重奏曲Op.1》より第1番、第1楽章
   演奏:スーク・トリオ