ON AIR REPORT オンエアレポート

2月10日 祝典の音楽

13/03/01


 2月11日は、「建国記念の日」。どこの国にも「建国」や「独立」を祝う習慣があり、そうした祝典には音楽が欠かせません。そこで2月第2週目は、世界の祝典にまつわる音楽をご紹介しました。現在では、アメリカの独立記念日にしばしば演奏されているチャイコフスキーの《序曲1812年》は、ナポレオンのロシア遠征が行われた年号がタイトルになっています。ロシアの歴史的大勝利に至までの過程を音楽で華々しく描写した作品で、 もともとは博覧会用の祝典曲として依頼を受けた作品です。途中、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の旋律が出てきますが、徐々にフランス軍が弱って行く様を描くため切れ切れになっていきます。またクライマックス付近では楽譜上に「大砲」の指定があったり、最後はロシアの勝利を華々しく描いています。
 祝典=セレモニーのための音楽といっても、博覧会や落成式、戴冠式、結婚式など様々な機会がありますが、古今東西お祝いの席において音楽が重要な役を果たして来たことは間違いないでしょう。戴冠式向けの作品としては、モーツァルトのピアノ協奏曲がありますが、この作品は1790年10月、フランクフルトで行われた神聖ローマ皇帝レオポルト2世の戴冠式の祭典で演奏され、ここから『戴冠式』の愛称が生まれたと言われています。戴冠式に間に合うように短期間で書かれたもので、楽譜には当初右手しか書かれていないような状況だったそうです。モーツァルト自身が演奏するためのメモ書きのようなものだったのでしょうね。その他、いろいろな機会に応じて作曲・演奏される「祝典音楽」。一番の目的は、お祝い事の気分を高め、場を盛り上げることかもしれません。今回ご紹介した作品には、共通して「華々しさ」「明快さ」がみられるように思いますが、いかがでしたか?


【オンエア楽曲】
♪M1 チャイコフスキー《祝典序曲「1812年」》
  指揮:ダニエル・バレンボイム、シカゴ交響楽団
♪M2 ブラームス《大学祝典序曲》
  指揮:レナード・バーンスタイン、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
♪M3 モーツァルト《ピアノ協奏曲第26番「戴冠」》より第2楽章
  ピアノ:フリードリヒ・グルダ
  指揮:ニコラウス・アーノンクール、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団


【今後の演奏会予定】

◎横山幸雄 3大作曲家を弾く ピアノリサイタル
日時:3月3日(日)、午後1時半開演〜4時終演予定
場所:横浜みなとみらいホール
曲目:ベートーヴェン:ピアノソナタ「テンペスト」「熱情」、
   ショパン:バラード全4曲 / リスト:ソナタロ短調

◎ショパンとドビュッシー、ラフマニノフのチェロ・ソナタ (Voyage 第5回)
日時:3月6日(水)、夜7時15分開演
共演:趙静
場所:東京 三鷹市芸術文化センター 風のホール

◎群馬交響楽団定期演奏会
日時:3月 15日 (金)、夜7時開演
場所:すみだトリフォニーホール
曲目:ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 指揮:ダニエル・クライナー