1月27日 名曲の初演
13/03/01
1月第4週目は、名曲の「初演」(はじめてその曲が公の場で演奏されること)にまつわるエピソードをいろいろとご紹介しました。今でこそ名曲として知られる作品も、初演はうまくいかなかったという例は少なくありません。1曲目にご紹介したのはラフマニノフの《交響曲第2番》。この作品はラフマニノフ自身の指揮で初演され、大きな成功をおさめましたが、実はこの10年ほど前に作曲された交響曲第1番は大失敗に終わったことが知られています。そのショックからラフマニノフは精神的に落ち込み、その後しばらく作曲活動を休止してしまうほどでした。その精神的痛手から立ち直るきっかけになったのが、ピアノ協奏曲第2番であり、今回ご紹介した交響曲第2番の成功でした。
また同じくロシア出身の作曲家、チャイコフスキーやストラヴィンスキーも初演時に酷評されてしまいました。チャイコフスキーの《ヴァイオリン協奏曲》は今でこそ押しも押されぬ名曲で、演奏される機会も多い作品ですが、なぜか初演時は受け入れられなかったようですね。さらに現代にいくとストラヴィンスキーの《春の祭典》なども、記録的な大失敗に終わったことが知られています。音楽史的にも重要な作品なわけですが、当時の聴衆にはあまりに前衛的すぎたのかもしれません。強烈なインパクトを与えたことは間違いないでしょう。
不評の要因は様々あるでしょうが、やはりそれまで誰もやらなかったこと、新しい事へ挑戦した結果、そこに聴衆がついて行けなかったということが大きいのではないでしょうか。その他、初演に向けての準備不足など、演奏自体がうまくいかなかったことなどもあるでしょう。このように今でこそ名曲として知られる作品の中にも、初演が不評だったものは案外と多いようです。しかし、初演が不評でそのまま忘れ去られている作品の方がもっと多いと思います。音楽作品は作曲家から一度生み出された以上、その後どのような方向に歩んで行くか・・・それは作品自身のもっている運命といえるかもしれません。
【オンエア楽曲】
♪M1 ラフマニノフ《交響曲第2番》より第3楽章
指揮:マリス・ヤンソンス、フィルハーモニア管弦楽団
♪M2 チャイコフスキー《ヴァイオリン協奏曲》より第1楽章
ヴァイオリン:アンネ・ゾフィー・ムター、指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン、
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
♪M3 ストラヴィンスキー《春の祭典》より<いけにえの踊り>
指揮:ズービン・メータ、ニューヨーク・フィル・ハーモニック
【今後の演奏会予定】
◎横山幸雄 3大作曲家を弾く ピアノリサイタル
日時:3月3日(日)、午後1時半開演〜4時終演予定
場所:横浜みなとみらいホール
曲目:ベートーヴェン:ピアノソナタ「テンペスト」「熱情」、
ショパン:バラード全4曲 / リスト:ソナタロ短調
◎ショパンとドビュッシー、ラフマニノフのチェロ・ソナタ (Voyage 第5回)
日時:3月6日(水)、夜7時15分開演
共演:趙静
場所:東京 三鷹市芸術文化センター 風のホール
◎群馬交響楽団定期演奏会
日時:3月 15日 (金)、夜7時開演
場所:すみだトリフォニーホール
曲目:ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 指揮:ダニエル・クライナー