12月9日 近代音楽③ 北欧・東欧
12/12/30
12月第2週は、「近代音楽」の第3回目として、北欧・東欧の19世紀末から20世紀半ばにかけての音楽をご紹介しました。音楽の歴史をみていくと、それまではフランス、イタリア、ドイツといった西ヨーロッパの国々が中心となって発展してきたのに対して、ロシア・東欧・北欧などのいわゆる周辺諸国の作曲家が民族的な音楽語法を用いて独自の音楽をつくるなど、新たな展開をみせたのが近代の音楽の大きな特徴でもあります。
1曲目にご紹介したのは、フィンランドのジャン・シベリウス(1865-1957)。交響曲、交響詩、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ曲など多岐にわたる作品を遺しています。20代で<フィンランディア>が大成功をおさめ、ヨーロッパ中に名を知られるようになりました。全体的な作風は、どちらかというと後期ロマン派を踏襲していて、モダンな要素はほとんど感じられません。続いてご紹介したのはハンガリーのベーラ・バルトーク(1881-1945)。同じくハンガリー出身の音楽家であるリストにとってハンガリー音楽はジプシー音楽だったといえるかもしれません。一方でバルトークは民謡を収集するなど、土着の音楽の研究に力を注ぎ、自らの作品に取り入れました。バルトークは、作曲家の他ピアニストとしても活躍し、同時にピアノ教育にも熱心でした。子ども向けの教材も多く遺していますね。演奏された方も多いのではないでしょうか。そして最後はポーランドのカロル・シマノフスキ(1882-1937)をご紹介しました。ポーランドというとショパンの印象が強いですが、シマノフスキも初期の作風はショパンなどのロマン派の影響を受けています。その後はロシアのストラヴィンスキーやフランスのドビュッシーなど様々な音楽家の特徴が混在する時期を経て、晩年は民俗音楽の研究に傾倒し、その成果を自らの作品に反映させました。近代の音楽には、西ヨーロッパ以外の国々が政治的にも社会的にもどんどん台頭してきた時代背景や、各国の民族性が反映された作品が多くみられます。このように、西洋音楽が成熟したロマン派の時代を経て、より現代的、モダンな方向へと進んで行く様を見て行くのもまた面白いのではないかと思います。
【オンエア楽曲】
♪M1 シベリウス 《ピアノのための10の作品集》より第9曲 <ロマンス>
ピアノ:エーロ・ヘイノネン
♪M2 バルトーク《弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽》より 第4楽章
指揮:小澤征爾、サイトウ・キネン・オーケストラ
♪M3 バルトーク《舞踏組曲》より第6曲
ピアノ:ゾルタン・コチシュ
♪M4 シマノフスキ《9つのプレリュード》より第2曲
ピアノ:マーティン・ラスコー
♪M5 シマノフスキ 《20のマズルカ》 より第4曲
ピアノ:マルク・アンドレ・アムラン