10月28日 近代音楽② ロシア
12/12/29
10月第4週は、前回のフランス近代音楽に続き、ロシアの近代音楽を取り上げました。1曲目はムソルグスキー(1839-1881)の展覧会の絵をご紹介しました。ラヴェルによるオーケストラ編曲を通して広く知られていますね。ムソルグスキーは、バラキレフ、キュイ、リムスキー=コルサコフ、ボロディンとともにロシア国民楽派の「五人組」として活躍しました。同時代にはチャイコフスキー(1840-1893)もいます。チャイコフスキーがヨーロッパ風(伝統的な西洋音楽)を継承したとすると、より民族的なものを取り入れようとしたのがロシア五人組といえるかもしれません。
続いてご紹介したリムスキー=コルサコフ(1844-1908)は「管弦楽法の大家」として知られ、色彩的で描写的な管弦楽法は、ロシア内外の近代作曲家たちに多大な影響を与えたと言われています。さらに次の世代に活躍したスクリャービン(1872-1915)はラフマニノフ(1873-1943)と同級生ですが、両者とも若い頃の作風はショパン風でとてもロマンティックな作品を書いています。お聴き頂いた《24の前奏曲》は明らかにショパンの影響を受けたものですが、そもそも前奏曲とは、古くはバッハから始まりショパン、ドビュッシー、ラフマニノフと少しずつ形を変えながら引き継がれてきたジャンルです。さらに時代が現代に近くなり・・・ショスタコーヴィチ(1906-1975)の前奏曲もご紹介しました。 1950年から51年にかけて作曲された本作は、スクリャービンやラフマニノフと続くロシアのピアノ音楽を継承する作品として評価されています。
こうして見てくると、ロシア近代はいろいろな作曲家が活躍していますね。西洋風のロマンティックな作品から、ロシア的・民族的な作品、そしてモダンな作品まで多種多様です。今回は触れられませんでしたが、ラフマニノフの作品にはやはりピアニストにとって重要な曲が多いですので、また折にふれて僕も演奏していきたいと思います。
【オンエア楽曲】
♪M1 ムソルグスキー《展覧会の絵》
ピアノ:エフゲニー・キーシン
♪M2 リムスキー・コルサコフ《ピアノ協奏曲 作品30》
ピアノ:ジェフリー・キャンベル、
指揮:ギルバート・レヴァイン、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
♪M3 スクリャービン《24の前奏曲》より第2曲
ピアノ:横山幸雄
(「Voyage三鷹リサイタル・シリーズ第3回」三鷹市芸術文化センタのライブ録音より)
♪M4 ショスタコーヴィッチ《24の前奏曲》より第1番
ピアノ:オリ・ムストネン