ON AIR REPORT オンエアレポート

10月14日 ショパン命日

12/12/29


10月第2週目は、今月17日が命日であるフレデリック・ショパンを取り上げ、ノクターンをご紹介しながらショパンの人生を振り返ってみました。ショパンは僕にとって、演奏活動の柱であり、これまでにも様々な演奏会を行ってきましたが、特に2010年、生誕200年というメモリアルイヤーを機に、3年にわたってショパンの全曲演奏会に取り組んでいます。今年は遺作(ショパンの死後発表された作品)をのぞき、ショパンの意志によって自ら作品番号を付けたピアノソロ作品147曲に、ピアノ協奏曲ソロヴァージョン2曲を加えた全149曲を15時間かけて演奏しました。今夜はノクターンの初期から後期の4作品をセレクトしてみましたが、ご紹介した演奏は、全て今年5月の全149曲演奏会のライブ録音よりお送りしました。

ノクターン全曲の中でも、第8番はもっともピュアで美しい作品ではないかと思います。20台後半の純粋な若者という要素をたぶんに残しつつ、静かで美しい作品に仕上がっています。この頃、ショパンはジョルジュ・サンドと出会い一緒に生活をしていくようになり、さらに作曲家として深みを増して行きます。その後30歳になろうという時期に書かれたのが第14番。病弱なショパンに対するサンドの献身的な支えによって、傑作が次々生まれていきます。ロマンティックで悲しげ、人の心を打つ美しいメロディ、ハーモニーが魅力的な作品です。決してしつこくなく、薄くも浅くもなく・・・ショパンの素晴らしいバランス感覚が現れているように思います。最後は、ショパン最晩年の作品、ノクターン第17番をご紹介しました。この作品は、僕にとってショパンの自分の人生に対する別れの曲のようなイメージがあります。僕は若い頃からショパンの晩年の作品が好きで、第18番、作品62-2のノクターンは今から20年以上前のショパンコンクールの第1次予選でも弾いた思い出の作品でもあります。ノクターンは、ピアノという楽器を通して聴けるショパンの心の中の歌、といえるかもしれません。

【オンエア楽曲】
♪M1 ショパン《ノクターン第1番》op.9-1
♪M2 ショパン《ノクターン第8番》op.27-2
♪M3 ショパン《ノクターン第14番》op.48-2
♪M4 ショパン《ノクターン第17番》op.62-1
 (演奏は横山幸雄、2012年のショパン全149曲演奏会より)