ON AIR REPORT オンエアレポート

9月2日 9月生まれの作曲家〜パッヘルベル〜

12/10/22


9月第1週は、今月生まれの作曲家をご紹介しました。9月生まれには・・・1日(洗礼日)にはパッヘルベル(1653〜1706:ドイツ)、4日にはアントン・ブルックナー(1824〜1896:オーストリア) 、5日はジョン・ケージ(1912〜1992:アメリカ)、6日はアントン・ディアベリ(1781〜1858:オーストリア)、8日はドボルジャーク(1841〜1904:チェコ)、13日はクララ・シューマン(1819〜1896:ドイツ)、21日はホルスト(1874〜1934:イギリス)、26日はガーシュイン(1898〜1937:アメリカ)など・・・たくさんの作曲家が誕生しています。

その中から、まず始めに聴いて頂いたのは、パッヘルベルの大変有名な作品です。正式名称は、《3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調》と言いますが、その前半部分が<カノン>です。パッヘルベルの最も有名かつ一般に知られている唯一の作品ではないかと思います。皆さんも一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか。同じコード進行が何度も繰り返される中で、少しずつ変奏されていきます。パッヘルベルはバロック中期に活躍した作曲家です。少し後輩にはバッハがいますが、バッハもフーガやカノン、そして変奏曲の名手でした。続いてご紹介したのは、バッハの作品中にでてくるカノンです。「同度のカノン」といって同じ音で始まるカノン、そして「二度のカノン」といって開始音が一音ずれているものをご紹介しました。バッハの作品は非常に凝った仕組みがあるのですが、あまりに曲として自然に出来ているので、聴いているだけでは、そのような複雑な仕組みは分かりにくいかもしれませんね。いかがでしたか?

カノンや変奏技法をご紹介しましたが、ちょうどパッヘルベルやバッハが活躍した時代は、音楽において人間の内奥の感情を表現することよりも、形式美や構造美が重要視されていたといえるでしょう。もう少し後のショパンの時代になると、書法よりも作曲家の人間的な感情部分が前面に出てくるように思います。もちろんどんな作曲家も一度は確固とした作曲技法や書法を学ぶ必要があるのでしょう。ブラームスなどは、古い時代のバロックや古典の書法や技法、形式を厳密になるべく守りながらそこに自分の音楽を投影していこうとしたタイプですね。音楽は心地よい、美しいなと聴くこともできますが、そこに込められた作曲家の心情とともに、どういう技法を用いて作曲したのかという点に注目するのも面白いのではないでしょうか。


【オンエア楽曲】
♪M1 パッヘルベル《カノン》
 指揮:ジャン=フランソワ・パイヤール、パイヤール室内管弦楽団
♪M2 バッハ《ゴルドベルク変奏曲》より第3変奏、第6変奏
 演奏:横山幸雄
♪M3 ベートーヴェン《ディアベリのワルツによる33の変奏曲》よりテーマと第1変奏、第32変奏
 演奏:横山幸雄