ON AIR REPORT オンエアレポート

8月5日 東欧の作曲家

12/08/31


毎回いろいろなテーマで音楽家や作品を紹介していますが、8月第1週はこれまであまりご紹介する機会がなかった、東ヨーロッパ、とくにチェコ出身の作曲家に注目し、いくつか作品をご紹介しました。

まずは、「チェコ国民楽派の祖」と呼ばれるスメタナ(1824-1884)の代表作、交響詩《モルダウ》をお聴き頂きました。ヴルタヴァ川(モルダウ川)の、源流近くからプラハを流れ、エルベ川へ合流するまでの川の様子が描写されています。スメタナは、チェコの作曲家・指揮者・ピアニストで、ご紹介した《モルダウ》を含む一連の6つの交響詩から成る『わが祖国』が特に広く知られています。そして同じくチェコ出身のドヴォルザーク(1841-1904)、ヤナーチェク(1854-1928)を取り上げました。

今回のご紹介したスメタナ、ドヴォルザーク、ヤナーチェクの活躍した時代は、ちょうど19世紀後半で、ロマン派が終わり、徐々に次の新しい時代に移り変わろうとしていた時代です。それまで音楽の中心は西ヨーロッパだったのに対して、周辺諸国の音楽家が目覚ましい活躍をみせはじめた時代でもあります。ハンガリー出身のリストやポーランド出身のショパンなどが最初期といえるでしょう。交通網の発達も影響し、西ヨーロッパ以外の国々からぞくぞくと優れた作曲家が出現してきます。ロシアのチャイコフスキー、ノルウェーのグリーグ、フィンランドのシベリウス、さらにその次の世代になると、ハンガリーのバルトーク、ブラジルのヴィラ=ロボス、スペインのファリャ、アルゼンチンのピアソラなど、より地域も広がっていきます。同じ東欧の出身であってもショパンの音楽からは民族的な要素を感じつつも、土着的なものになり過ぎず、ポーランド的な要素は少し削られているような印象をうけます。それに比べると、スメタナやヤナーチェクなどはより意識的に民族性を強く打ち出そうとしたように感じます。


【オンエア楽曲】
♪M1 スメタナ 交響詩《モルダウ》
  指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
♪M2 ドヴォルザーク《スラヴ舞曲集》op.72-2
  ピアノ:ラヴェック姉妹
♪M3 ドヴォルザーク《ピアノ・トリオ「ドゥムキ」》第5楽章

♪M4 ヤナーチェク《シンフォニエッタ》第1楽章
  指揮:クラウディオ・アバド、ロンドン交響楽団