ON AIR REPORT オンエアレポート

7月22日 ドメニコ・スカルラッティ

12/08/13


7月第4週は、7月23日が命日のスカルラッティを特集しました。バッハやヘンデルと同じ1685年生まれで、イタリアを代表するバロック音楽作曲のドメニコ・スカルラッティ(1685〜1757)は「近代クラヴィーア奏法の父」と称されるバロック器楽曲の巨匠です。なんといってもスカルラッティの功績は、550曲にもおよぶソナタを遺したことだと思いますが、今夜はあわせて「ソナタ」についてもご紹介しました。

スカルラッティはイタリア・ナポリ生まれ。当時のイタリアといえば、当時はモンテヴェルディやヴィヴァルディなどが活躍していた時代です。スカルラッティはチェンバロのための様々な作品を遺しています。代表曲である550曲を越えるチェンバロのためのソナタは、もともとは、ポルトガル王女マリア=バルバラ(後にスペイン王妃)の教育目的で作曲された練習曲群です。スカルラッティは後に王女に追随してスペインへ渡ります。
ところで、「ソナタ」とは、スカルラッティが活躍したバロック時代においては「器楽曲」という位の意味で使われていました。スカルラッティのソナタは二部形式を中心としていますが、比較的自由な形式で書かれています。その後古典派の時代になると、「ソナタ形式」が発展し、ピアノというジャンルはソナタ真っ盛りいう時代に突入していきます。ピアノソナタの大家といえば、なんといっても1732年生まれのハイドン。学習曲としてもハイドンのソナタは有名ですね。大抵の方がソナチネから入り(ソナタの小さいもの)、本格的なピアノソナタへ移行すると思いますが、その初期に勉強するのがハイドンのソナタではないでしょうか。そのハイドンに作曲を習っていたのがベートーヴェンで、最初の3つのソナタはハイドンに献呈しています。ピアノという楽器の発展に伴いさらに飛躍的なスケールの大きな作品となっていきます。そしてロマン派の時代になると、ソナタは作曲家にとってここぞという大事なときの大曲へと位置付けも変化していきます。ショパン、シューマン、ブラームスもソナタを遺していますが、曲数は決して多くありません。近代ではプロコフィエフ、スクリャービンもソナタを書いていますね。ソナタといってもソナタ形式の要素しか感じられないもの、古典派のきちっとしたソナタ、ロマン派は満を持して書くものへ・・・このように、ソナタというあり方も変わって行ってきているのが面白いですね。


【今後の予定】
★ 鮮烈のオール・リスト・リサイタル 第2弾!
日時:9月9日、午後1時開演(13:00〜15:00)
会場:東京オペラシティ・コンサートホール
曲目:ラ・カンパネラ、マゼッパ、メフィスト・ワルツ、ラコッツィ行進曲、スペイン狂詩曲、ソナタ他

★ハンガリー狂詩曲2番&超絶技巧練習曲全曲
日時9月 9日 (日)、午後4時半開演(16:30〜18:30)
会場:東京オペラシティ・コンサートホール
曲目:ハンガリー狂詩曲2番&超絶技巧練習曲全曲
(お問い合わせ:後援会事務局TEL/FAX.03-3784-5040)

【オンエア楽曲】
♪M1 スカルラッティ《ソナタ ロ短調 K.87 》
  ピアノ:イーヴォ・ポゴレリチ
♪M2 ハイドン《ピアノ・ソナタ 第37番》より第1楽章
  ピアノ:アルフレッド・ブレンデル
♪M3 プロコフィエフ《ピアノ・ソナタ第7番 変ロ長調》作品83より第3楽章
  ピアノ:上原彩子