7月8日 クラシック音楽&ジャズ
12/08/13
7月第2週は、「クラシック音楽とジャズ」をテーマにお送りしました。クラシックとジャズの結びつきには様々な形がありますが、その中でもまずはクラシックとジャズの両面で活躍し、その融合を試みたアメリカの作曲家、ガーシュイン(1898年9月26日〜1937年7月11日)に注目しました。以前この番組でも特集したこともありますが、ガーシュインはポピュラー音楽とクラシック、ジャズとクラシックを融合させ独自の音楽を生み出しました。ときに「アメリカ音楽の父」と称され、後世にも大きな影響を与えました。ガーシュインが活躍し始めるのは1920年代、ちょうどアメリカでは独自の音楽が確立されようという時代です。ガーシュインは兄のアイラ・ガーシュインとともに数々の名曲を生み出して行きました。クラシックの作品の中にジャズのエッセンスを取り込んだ作風を試みたのはガーシュインが最初ではないかと思います。僕自身、ガーシュインはたまに聴くことはあっても、演奏会で取り上げることはほとんどありませんでしたが、今年6月には仙台フィルと《ラプソディー・イン・ブルー》を共演しました。バッハやベートーヴェン、ショパンなどのいわゆるクラシック音楽の作品と比べると、ガーシュインのこの作品は枠組みが大きく異なります。美しい旋律、楽しい情景が次々と現れる感じで、音楽の構成も異なりますし、もちろんハーモニーの使い方も異なります。僕にとっては新しい挑戦でしたが、最初はなかなか指が馴染まず、自然に反応してくれるまでに少し時間がかかりました。最終的には楽しく演奏できましたが、普段あまり馴染みのない作曲家の作品はやはり緊張感がありますね。
その他、クラシックにジャズのビート感を取り入れたり、有名なクラシックの作品をジャズ風に演奏したりと、両者の融合は様々な形がありますが、続いてはバッハの作品のジャズ風アレンジをご紹介しました。バッハの音楽はそれ以降の西洋音楽に比べるとハーモニー構造やメロディーが割合シンプルに出来ていますので、いろいろな形に発展させやすいのかもしれませんね。さらに近年は、もう少しクラシック的な形式とジャズ的なハーモニー、グルーヴ感が密接に結びついた新しい形の作品も生み出されてきています。その中からロシアの作曲家、ニコライ・カプースチン(1937〜)の作品もご紹介しました。実は日本でも静かなブームとなっているカプースチン。音楽大学でも試験曲に取り上げる学生がいますし、僕も教えたことはありますが、自分で演奏したことはありません。一度は取り上げてみたいと思います。
【オンエア楽曲】
♪M1 ガーシュイン《ラプソディー・イン・ブルー》
ピアノ:アイヴァン・デイビス、指揮:ローリン・マゼール、クリーブランド管弦楽団
♪M2 バッハ《イタリア協奏曲》より第1楽章
演奏・アレンジ:ジャック・ルーシエ
♪M3 カプースチン《3つの練習曲》作品67より第1曲
ピアノ:ニコライ・カプースチン