ON AIR REPORT オンエアレポート

6月24日 生誕150周年 ドビュッシー生演奏特集

12/07/17


6月最終週は、ちょうど今年が生誕150周年のドビュッシーの作品を中心に、久々に僕の生演奏でたっぷりとお届けしました。ドビュッシーはこれまで何度か番組で取り上げていますが、ショパンやリストの時代より50年ほど後にパリで活躍した音楽家です。初期の作品は、とりわけショパンの影響を受けているといえるでしょう。当時、ショパンの音楽の影響は大変強く、ドビュッシーのようなフランスの作曲家だけでなく、ロシアのラフマニノフ、スクリャービンなども若い頃の作品はとてもショパン風だと思います。そして、徐々にショパン風から抜け出し、それぞれ独自の作風を確立していきます。ドビュッシーの場合は、印象主義とよばれた作風へと移って行くわけですが、もともと「印象主義」というのは絵画の方で生まれた考え方です。ドビュッシーは<版画><映像>といった作品にはじまり、<前奏曲集>である意味、印象主義の音楽の完成形へと達したように思います。第1集、第2集と合わせて、計24曲あり、ドビュッシー自身によってタイトルが付けられています。タイトルというと、通常は冒頭に書かれるわけですが、この作品の場合は、最後にメモ書きのように遠慮がちに添えられています。このことから、タイトルのイメージにとらわれて欲しくない、というドビュッシーのメッセージが込められているのかもしれません。24曲の中には、軽快でウィットに富んだ作品から哲学的な作品まで幅広い音楽が含まれています。ドビュッシーの音楽は、まるで詩のような、単語が羅列されているような・・・ぱっと聴いて「好きだな」と思う方と、「よく分からないな」と感じる方と分かれるかもしれません。もしかしたら何度か聴くうちに、その魅力にはまっていくのかもしれません。僕自身は、10代後半から生活していたパリの雰囲気が懐かしく、今でも疲れたりすると、ドビュッシーやフォーレなどフランスの作品をなんとなく弾きたくなります。今回は前奏曲集を中心に、僕がプロデュースする渋谷のリストランテGにて収録したものからお届けしました。

【オンエア楽曲】
♪M1 《前奏曲 第1集》より<亜麻色の髪の乙女>
♪M2 《前奏曲 第1集》より<パックの踊り>
♪M3 《喜びの島》
♪M4 《前奏曲 第2集》より<ヴィーノの門>
♪M5 《前奏曲 第2集》より<オンディーヌ>
 ピアノ:横山幸雄