6月17日 バッハ作品のアレンジいろいろ
12/07/17
6月第3週目は、約200年前の6月17日、パリで生まれたフランスの作曲家、シャルル・フランソワ・グノー(1818年6月17日 - 1893年10月18日)をまずご紹介しました。グノーといえばなんといっても<アヴェ・マリア>が有名ですね。ただし、この作品はバッハの『平均律クラヴィーア曲集』第1巻第1曲の前奏曲を伴奏として、そこに新たな歌をかぶせた曲です。このようなバッハの作品をもとにしたアレンジ曲は、グノーの他にも、多くの作曲家が取り組んでいます。その中からいくつかバッハ作品のアレンジ、編曲をご紹介しました。
アレンジと一言でいってもその方法は様々・・・①<グノーのアヴェ・マリア>のように既存曲をそのまま活かし、自由にメロディーを付け加える、②ある楽器(群)のために書かれた楽曲を、異なる楽器や編成に編曲する、③ある主題(テーマ)をもとに、リズム、拍子、音高などを変化させたり、装飾を付けるなどして変奏する。といった方法が考えられるかと思います。実は僕も、<バッハ=グノーの主題による即興曲>という作品を作っているのですが、いつもエンディングで使われている曲です。原曲はバッハ、そこにグノーが旋律をのせて、さらにそれを僕がアレンジしています。演奏することが急に決まったため、短時間でほぼ即興に近い形で作り上げました。
さてその他のアレンジとして、音楽特有かもしれませんが、人名を音に読み替えて、その音型をモティーフに作曲するという手法があります。バッハの名前をモティーフにした作品も数多く作られています(B-A-C-H=シ♭ーラードーシと音に置き換えることができます)。バッハ自身もこのモティーフを使って作曲していますし、その他シューマン、リスト、リムスキー=コルサコフ、ブゾーニ、レーガー、オネゲル、プーランクなどが作品を遺しており、ヨハン・セバスチャン・バッハへの敬意の表明として使われています。プーランクのワルツなんかは、とても軽やかで洒落た作品に仕上がっています。いろいろなアレンジ方法で出来上がった作品を聴き比べてみるのも面白いですね。
♪M1 バッハ=シャルル・グノー《アヴェ・マリア》
歌:ルネ・フレミング、指揮:アンドレアス・デルフス、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
♪M2 横山幸雄 <バッハ=グノーの主題による即興曲>
ピアノ:横山幸雄
♪M3 プーランク《BACHの名による即興ワルツ》
ピアノ:パスカル・ゴダール
♪M4 リスト《Bachのモティーフによる前奏曲とフーガ》より<前奏曲>
ピアノ:パスカル・ゴダール