ON AIR REPORT オンエアレポート

5月27日 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ追悼

12/05/31


日付も変わり5月28日。今日はドイツの名バリトン歌手、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウが誕生した日です。20世紀を代表する歌手として、めざましい活躍を続けてきましたが、つい先日5月18日、87歳の誕生日を目前に亡くなったばかりです。オペラと歌曲(リート)の両分野で多大な功績を残し、特にリートでは、歌詞の深い解釈と豊かな表現力で知られ、後に続く歌手に大きな影響を与えました。なかでも、母国語でもあるドイツ語のリートはフィッシャー=ディースカウの活動の柱でした。イタリアオペラのような華やかな世界とはまた異なる歌曲(リート)の魅力を世に広めた歌い手の一人と言えるでしょう。素晴らしい録音も多数遺しています。僕も日本にいた頃は、ドイツ・リートも好きでよく聴いていました。フィッシャー=ディースカウも若い頃と晩年とでは、歌い方も異なり、年を重ねるごとに、よりドイツ的で厳格なイメージが増してきたように思います。演奏スタイルの移り変わりというのに注目して聴いてみるのも一つの楽しみ方ですね。また、同じ曲でも歌い手によってだいぶ異なりますので、いろいろな演奏家を聴き比べてみるとよいかもしれませんね。ご紹介した曲は、フィッシャー=ディースカウの活動の柱であったドイツ・リートよりシューベルト、シューマン、そしてメンデルスゾーンの作品を取り上げました。僕はどちらかと言うとオペラの中の代表的なアリアをピアノ伴奏することが多いのですが、リートもまたピアニストにとって魅力ある作品が多い分野です。シューベルトやシューマンの歌曲は何度かやったことがありますが、ピアノパートも単なる伴奏ではなく、前奏、後奏も重要な役割を担っています。リートのピアノにも注目して聴いて頂けると、また楽しみも広がるのではないでしょうか。

【オンエア楽曲】
♪M1 シューベルト<音楽に寄せて D.574>
  歌:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、ピアノ:ジェラルド・ムーア
♪M2 シューベルト 歌曲集《白鳥の歌》より<セレナーデ>
  歌:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、ピアノ:ジェラルド・ムーア
♪M3 シューマン《詩人の恋 op.48》より
   <美しい五月に><わたしの涙から><ばらに、ゆりに、はとに>
  歌:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、ピアノ:アルフレッド・ブレンデル
♪M3 メンデルスゾーン 歌曲集《6つの歌》より<歌の翼に>
  歌:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、ピアノ:ヴォルフガング・サヴァリッシュ

【今後の予定】
★Voyage三鷹リサイタル・シリーズVol.3
日時:6月7日(木) 、夜7時15分 開演
場所:(東京)三鷹市芸術文化センター・風のホール
曲目:ドビュッシー:前奏曲第2集/スクリャービン:前奏曲集op.11- 2、9、11、12、13、14
   ラフマニノフ:前奏曲集 op.22-2,4,5、op.32-5,10,12