5月20日 アレクサンドル・スクリャービン特集
12/05/31
5月第3週目は、ロシアの作曲家、ピアニストであるアレクサンドル・スクリャービン(1872年1月6日〜1915年4月27日)を特集し、人生&音楽をご紹介しました。同じくロシア出身の音楽家の中では、チャイコフスキーの少し後、ストラヴィンスキーよりも少し前の時代に活躍しました。またラフマニノフとはモスクワ音楽院で同級生として共に学んだ仲間です。そんなスクリャービン、ピアノ曲を多く遺していますが、若い頃と晩年では作風が大きく変化しています。特に若い頃は「ロシア風ショパン」と呼べるほど、ショパンに強い影響を受けたものが目立ちます。そして、後期になると「神秘主義」に傾倒していき、調性の枠を超えたり、様々な新しい試みを取り入れたりと、独自の音楽表現を目指すようになります。
1曲目にご紹介したのは、初期の作品より《12の練習曲集》です。この練習曲集は、ショパンの作品10や25の練習曲集を意識して書かれたといわれています。特に第12番は、ショパンの同じく第12番の<革命>との類似性が示唆されています。この作品はスクリャービン自身も好んでよく弾いていたそうです。続いてご紹介したのは《24の前奏曲集》です。こちらも練習曲集と同様、ショパンの24の前奏曲と同じスタイルで書かれています。スクリャービンはその他にも多くの前奏曲を遺していますが、形式もより自由で即興的な要素もある前奏曲のスタイルがしっくりきたのかもしれませんね。ある意味、ショパンにとってのマズルカと同じような位置付けだったのかなと思います。最後にご紹介したのは晩年の作品より《ピアノ・ソナタ第10番》です。この曲は僕がパリで行った初めてのリサイタルで演奏した思い出の曲でもあります。ショパンのスタイルを踏襲した初期から比べると、だいぶ変化してきたことが感じられるのではないでしょうか。
さて、2曲目にご紹介した前奏曲ですが、来月のリサイタルでも取り上げます!ドビュッシーの第2巻の前奏曲集を全曲、そしてスクリャービン、ラフマニノフの前奏曲集より抜粋して演奏いたします。同じ前奏曲といっても、作曲家によって音楽的なメッセージが少しずつ違います。作曲家一人一人の音楽的センス、考え方の違いを聴き分けてもらえたらと思います。詳細は下記をご覧下さい。
【オンエア楽曲】
♪M1 スクリャービン《12の練習曲集 op.8》より第12曲番
ピアノ:横山幸雄(「ヴィルトゥオーソ名曲集」2006年のアルバムより)
♪M2 スクリャービン《24の前奏曲集 op.11》より第1曲、第9曲
ピアノ:ウラディミール・ホロヴィッツ
♪M3 スクリャービン《ピアノ・ソナタ 第10番》
ピアノ:ウラディミール・アシュケナージ
【今後の予定】
★Voyage三鷹リサイタル・シリーズVol.3
日時:6月7日(木) 、夜7時15分 開演
場所:(東京)三鷹市芸術文化センター・風のホール
曲目:ドビュッシー:前奏曲第2集 / スクリャービン:前奏曲集op.11- 2、9、11、12、13、14
ラフマニノフ:前奏曲集 op.22-2,4,5、op.32-5,10,12