ON AIR REPORT オンエアレポート

4月29日 「横山幸雄“入魂のショパン”」 直前スペシャル②

12/04/30


先週に引き続き、今夜はあと3日後にせまった「横山幸雄“入魂のショパン” ―ショパンの遺志を追い求めて―」直前スペシャルということで、コンサートの構成や、内容、ショパンの楽曲の魅力について改めてご紹介しました。
今年はショパンの作品番号がついたピアノのソロ作品全147曲、それに2曲のピアノ協奏曲のショパン自身の手によるソロヴァージョンを加えた、全149曲を演奏いたします。現在、本番当日に向けて準備を進めているところですが、昨年のショパン全212曲演奏会以来、久々にふれる作品も結構たくさんあり、指が忘れていたり、準備をしてもしても、あの曲はどうだったかな?と夜寝ていてもショパンに追い回される・・・そんな日々を送っています。

今回は、朝7時半に会場、「朝の部(朝8時〜午後0時10分)」は、記念すべき作品1の<ロンド>からはじまり、20歳前後の非常に若い時期のものを中心に取り上げます。ここで2曲のピアノ協奏曲ソロヴァージョンも演奏いたします。続く「昼の部(午後0時50分〜3時10分)」では、20代前半から半ばまでの作品を中心に取り上げます。二十歳で祖国ポーランドを旅立ち、まずはウィーンへ向かうショパン。しかし社会情勢の変化から演奏活動もままならず、ショパンにとって初となる大きな試練と直面した時期でもあります。そして翌年ようやくパリへたどり着き、そこで作曲家として大きく花開いて行きます。
「夕べの部(午後3時40分〜6時25分)」では、20代後半から30代始めという、ショパンが心身ともにとても充実していた時期の作品を取り上げます。幼なじみのマリア・ヴォジンスカとの再会、婚約、そして別れを経験し、また一方で女流作家のジョルジュ・サンドと出会い、その後10年弱ともに過ごす事になります。病弱だったショパンはサンドの献身的な愛情に支えられ、作曲活動も充実し、傑作を生み出して行きます。そして最後の「夜の部(夜7時05分〜夜11時)」では、30代半ばから最晩年までという、作曲家ショパンの絶頂期・円熟期の作品を取り上げます。傑作が多数書かれる一方で、サンドとの中には徐々に亀裂が入っていき最終的には別れに至ります。また体調も悪化し、さらに父や親友など身近な人の死など、不幸な出来事が襲います。

ショパンの作品は、どの時代のものを聴いても、「ショパンらしいな」と感じるかと思いますが、若い頃の作品から順に聴いていくと、晩年の作品には、光と影が交錯するような、複雑な要素が絡み合った感じをより一層受けられるのではないでしょうか。一日で味わうショパンーー作品のそうした年代ごとの変化も聴いて頂ければと思います。今年で3年目となるゴールデンウィークのショパン全曲演奏会。聴きにきて下さるお客様がいるからこそ、こうして毎年続けていけるのですが、僕にとっても一年に一度の非常に貴重な機会で、ショパンに対峙する日でもあります。このような機会を続けてもつことで、ショパンの真髄に近付いていければと思います。15時間の長丁場。ご都合のつく方はぜひ会場にいらして頂き、ショパンの作品とともに人生を堪能して頂ければと思います。

★ 横山幸雄“入魂のショパン” ―ショパンの遺志を追い求めて―
日時:5月 3日 (木・祝)、朝8時〜夜11時(朝8時開演、夜11時終演の4部制)
場所:東京オペラシティ
*ショパンが自ら作品番号を付して世に送り出した147曲に加えて、横山幸雄自身も初めて演奏する「ピアノ協奏曲第1番、2番」のソロ・ヴァージョンを取り上げます。
※当日券も若干のご用意があります。

★当日は、午後2時から4時半までは、「TOKYO FMホリデースペシャル ショパン・ポイント・ラヴ・フロム・ユキオヨコヤマ 横山幸雄 ”入魂のショパン“―ショパンの遺志を追い求めて― 全149曲」として、生中継されます。こちらもどうぞお楽しみに♪


【オンエア楽曲】
♪1 ショパン《12の練習曲集 op.25》より 第1番 「エオリアンハープ」
 ピアノ:横山幸雄(「横山幸雄 プレイエルによるショパン・ピアノ独奏曲全曲集6」より)
♪2 ショパン《ワルツ 第5番「大円舞曲」op.42》
 ピアノ:横山幸雄(「横山幸雄 プレイエルによるショパン・ピアノ独奏曲全曲集9」より)
♪3 ショパン《3つのマズルカ op.59》より 第1曲
 ピアノ:横山幸雄(昨年のショパン全212曲のライブ録音より)