ON AIR REPORT オンエアレポート

3月4日 ヴィヴァルディ特集

12/03/13


ちょうど今から334年前の1678年3月4日、イタリア・ヴェネツィアで生まれた作曲家、アントニオ・ヴィヴァルディを特集して、その人生と音楽についてご紹介しました。時代としては、バッハ、ヘンデルよりも7歳年上、バロック後期に活躍した作曲家です。ヴィヴァルディの代表作というと「四季」が最も有名で他はあまり知られていないようにも思いますが実は、たいへん多作な作曲家です。その数は600曲以上にのぼると言われています。本人はヴァイオリンの名手として知られ、そのためか500曲ほどある協奏曲の7割以上が弦楽の協奏曲になっています。バロック時代の協奏曲は、チェンバロを代表とする通奏低音(ベースライン)に様々な独奏楽器が加わった少人数の集まりから、徐々に大規模な形へと発展していきました。その中で、チェンバロや、ヴァイオリンがソロ楽器として独立して、独奏者の技巧を前面に押し出した、より華やかな効果を生み出す形式へとつながっていきました。

続いてお届けしたのは、《協奏曲「調和の霊感」》です。この作品はヴィヴァルディが最初に出版した曲で、四季についで有名な作品かもしれません。ヴァイオリンを習っている人にとっては、学習曲として取り上げられる機会も多い曲ではないでしょうか。ヴィヴァルディの音楽は7歳年下のバッハやヘンデルなどにも大きな影響を与えたと言われます。バッハはヴィヴァルディの作品をいくつか編曲しています。というのも当時はイタリアが音楽の中心地で、その音楽を学び取るために編曲したのではないかと考えられています。画家が模写するような感じでしょうか。そして最後は少し珍しい《マンドリン協奏曲》をお聴き頂きました。日本では長くCMでも使用されていた曲ですので、耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

僕にとってヴィヴァルディの音楽は、バッハやモーツァルトとも異なり、またベートーヴェンのような強いメッセージ性を持つわけでもなく、聴いていて心地良い音楽です。現代では様々な娯楽もあり、音楽にしても私たちはいろいろな選択肢があるわけですが、当時の人にとって、このような心地良い音楽は何よりの気分転換になったのかもしれませんね。


【オンエア楽曲】
♪M1 ヴィヴァルディ《協奏曲集「四季」》より「春」 第1,2,3楽章
アルベルト・リッツィオ指揮、イ・ムジチ・ディ・サン・マルコ
♪M2 ヴィヴァルディ《協奏曲集「調和の霊感」》より第6番 第1楽章
 アルベルト・リッツィオ指揮、イ・ムジチ・ディ・サン・マルコ
♪M3 ヴィヴァルディ《マンドリン協奏曲 ハ長調》より第1楽章 
 アルベルト・リッツィオ指揮、イ・ムジチ・ディ・サン・マルコ