ON AIR REPORT オンエアレポート

2月19日 ミシェル・ルグラン

12/02/20


ちょうど今の時期は、各地で映画祭が開催されたり、また来週にはアカデミー賞授賞式が行われる時期ですね。映画の中でも音楽はとても重要な役割を果たしているわけですが、今夜はそんな映画音楽の大家として知られる、ミシェル・ルグランを特集してお送りしました。

1932年2月24日パリ生まれのルグラン。今週がちょうど誕生日ですが、今年で80歳になります。まだまだ現役でピアニスト、作編曲家として活躍中です!これまで3度のアカデミー賞、5度のグラミー賞に輝く映画音楽の巨匠で、「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」「風のささやき」「おもいでの夏」等、多数の映画音楽を担当しています。また、クラシック、ポップス、ジャズと幅広いジャンルを網羅し、さらにミュージカル、オペラそして映画監督までこなしてしまうマルチな音楽家です。日本でも近年CMに楽曲が使われたりしています。

父親は映画音楽を手がける作曲家のレイモン・ルグラン、母親は楽譜出版社を経営という音楽一家に生まれました。6歳で本格的にピアノを習いはじめ、11歳でパリのコンセルヴァトワールに入学します。ほどなくして天才ぶりを発揮し、10代後半では、 アレンジャー兼伴奏者として生計を立てるようになります。そして20歳で通常よりも4年も早くコンセルヴァトワールを主席で卒業。その後ミシェル・ルグラン楽団を結成し編曲、指揮、ピアニストとして活躍し始めます。映画音楽にも携わるようになり、またジャズピアニストとしても活躍を始めます。30代、40代と多数の映画音楽を手がけ、50代の頃には初の本格的な舞台ミュージカル『壁抜け男』で新境地を開きます。1998年にフランスで初演されたこのミュージカル。もともとフランスではミュージカルが上演される機会がそれほど多くないような気がしますが、この作品は大ヒットを記録します。翌年1999年には日本へ、2003年には本場・ブロードウェイ進出も果たした話題作です。ちょうど現在、「劇団四季」で上演中です。実は僕も今月末に観に行く予定です。そしてまだ先のことですが、今年6月に、仙台フィルハーモニー管弦楽団との共演で、ルグランの作品を一つ演奏することになっています。ルグランが30代に作った《思い出の夏》(映画『おもいでの夏』の主題歌)、これをピアノ協奏曲風にアレンジした作品を演奏予定です。合わせてガーシュインの《ラプソディー・イン・ブルー》も演奏します。ガーシュインもルグランも、ちょうどクラシックと映画音楽との境界線上にあるような音楽で、またジャズの要素もあり、普段ショパンやベートーヴェンを演奏している僕からすると、少し新しいジャンルに挑戦するような気がしていて、今からとても楽しみです!

今夜は、ルグランの代表作から、日本でもCMに用いられている曲など、たくさんお聴き頂きました。いかがでしたか?皆さんもどこかで耳にしたことがある曲が多かったのではないでしょうか。映画音楽は、時に人の感情や感覚に寄り添うものだったり、また時には聴き手の想像力をかき立て、豊かにしてくれるようなものだったり・・・いろいろな楽しみ方ができるのも魅力の一つではないでしょうか。

【横山幸雄の今後の予定】
●デビュー20周年後期ロマン派三大協奏曲の夕べ
日時:年 2月 28日 (火曜日) 午後7時〜9時
場所サントリーホール (地図)
曲目:チャイコフスキー:第1番、ラヴェル:ト長調、ラフマニノフ:第3番
共演:指揮:小泉和裕氏、東京都交響楽団

●Voyageショパンからラフマニノフへ音楽の旅路 <リサイタル・シリーズ第2回(全12回)>
日時:年3月4日、午後3時〜5時
曲目:曲目:ショパン:プレリュードop.45、24の前奏曲 Op.28/ドビュッシー:前奏曲集 第1集
場所:三鷹市芸術文化センター風のホール


【オンエア楽曲】
♪M1 ミシェル・ルグラン《シェルブールの雨傘》(映画『シェルブールの雨傘』主題歌)
♪M2 ミシェル・ルグラン《Di-Gue-Ding-Ding》
♪M3 ミシェル・ルグラン《オーディナリー・マン》(ミュージカル『壁抜け男』主題歌)
/上記3曲ともに演奏:ミシェル・ルグラン