12月25日 振り返り特集②
12/01/02
前回に引き続き、2011年後半に行った演奏会について振り返りました!今年も様々な演奏会をさせて頂きましたが、中でも9月11日、東京オペラシティで行った『横山幸雄デビュー20周年記念リサイタル 〜オール・リスト・プログラム〜』は僕にとっても、一つの区切りとなる演奏会でした。いつも夏の終わり頃、オペラシティでは大きな演奏会をやらせて頂いていますが、今年に引き続き、来年もリストを中心に取り上げる予定です。いつも長めの構成でたっぷり聴いて頂いていますが、今回は通常2部構成のところ、3部で組みました。宗教的なもの、編曲もの、そしてリストを代表する《超絶技巧練習曲集》を初めて演奏会で取り上げたり・・・リストの様々な面を聴いて頂けるように構成を練りました。
実はこの時の第1部で、ピアノの弦が切れるというハピニングがありました。大きな演奏会では、自分の楽器を持ち込んで演奏するのですが、この時はNYスタインウェイのピアノを使いました。5月のショパン212曲全曲演奏会のときはドイツのハンブルク製のスタインウェイを使ったのですが、同じスタインウェイでも全く性格が異なります。NYスタインウェイはある意味とても荒削りで、音色一つ一つはバラついているんですが、それが曲になったときに、その音色のムラがいい味となり、音楽の一つの要素となるように感じています。ハンブルク製に比べるとボリューム感もかなりあります。大ホールで使うと非常に迫力があり、高音は輝かしい響きをもっています。もちろん生産地だけでなく、年代によっても楽器の特徴は異なりますが、楽器が違うと、音色はもちろん、弾き心地も異なります。楽器の違いにも注目して聴いてもらうと、さらに面白いのではないかと思います。その他では10月17日、この日はショパンの命日でもありますが、ちょうど1年前から始めた『プレイエルによるショパン ピアノ独奏曲全曲演奏会』の最終回を無事に終えました。全12回シリーズのCDも先月で全て発売されています。ショパンの愛用したプレイエルを使用した演奏会ということで、僕にとっても貴重な機会となりました。CDでもプレイエルの音色を堪能できると思いますので、ぜひお聴き頂ければと思います!
2011年を振り返ると、日本にとって本当に大変な年となりました。僕も音楽家として何ができるのか、ということを日々考えて過ごしています。演奏会に来て下さるお客様へ感謝しつつ、一回ずつの演奏会がよりいっそう大切なものに感じられた1年でした。
【オンエア楽曲】
♪M1 シューベルト作曲 リスト編曲 《アヴェ・マリア》
♪M2 リスト 《超絶技巧練習曲集》より第12番<雪あらし>
(『横山幸雄デビュー20周年記念リサイタル 〜オール・リスト・プログラム〜』のライブ録音より)