ON AIR REPORT オンエアレポート

12月11日 ガブリエル・フォーレ

11/12/12


今夜は、フランスの作曲家、ガブリエル・フォーレ(1845〜1924)の人生と音楽をご紹介しました。フォーレは、時代的にはロマン派の作曲家で、先輩作曲家にはショパンやサン=サーンス、ビゼーなどがいます。フォーレは交響曲や協奏曲といった大規模な作品はほとんどありませんが、歌曲やピアノ曲、室内楽作品を多数遺しています。ピアノ曲では、夜想曲(ノクターン)、舟歌、プレリュードなどショパンを連想させるような作品がたくさんあります。

1845年に生まれたフォーレは、幼い頃から宗教音楽学校で学び、16歳ではサン=サーンスにピアノと作曲を師事しました。作曲家として活躍する一方、晩年には、パリ国立音楽院の作曲科教授として、モーリス・ラヴェルやデュカスなどを輩出しており教育者としての功績も残しています。79歳、肺炎を患いパリで亡くなりますが、葬儀の際は、以前この番組でもご紹介しましたが、フォーレの代表作『レクイエム』が演奏されるなか、国葬として執り行われたそうです。

フォーレは僕も非常に好きな作曲家の一人です。ピアノ曲以外にも、歌の伴奏や室内楽でも時折演奏する機会があります。フォーレの音楽は、少し抑制した中での官能、ロマンティックな表現という点で、とてもフランス的な感じがします。僕は10代後半ずっとフランスにいたのですが、日本にいながらフォーレを聴いたり弾いたりすると、なんだかパリを懐かしく思い出します。

さて今夜1曲目にご紹介したのは、フォーレの作品の中でも非常によく知られた1曲で、《夢のあとに》です。もとは歌曲ですがいろいろな楽器で演奏されています。今夜はヴァイオリンとピアノのバージョンでお聴き頂きました。ヴァイオリンの矢部達哉さんは、この番組の第1回目のゲストに来て頂きましたが、以前二人で録音した『エシェゾー』というアルバムからご紹介しました。チェロでも演奏される機会も多いですね。フォーレの比較的若い頃の作品です。2曲目は《ノクターン第7番》。フォーレは生涯で13曲のノクターンを書いている。ショパン以外でこんなたくさんのノクターンを書いた作曲家はいないのではないでしょうか。第5番あたりまではまだ若々しさを感じさせる作品ですが、今夜ご紹介した第7番は50歳を過ぎてから書かれた作品で、重い足取り、悲しみを感じさせ、なんだか冬にしっくりくる音楽のような気がします。一回聴いただけではよく分からない、でも何度か聴くうちに理解が深まって行く・・・そういう作品ではないかと思います。そして最後は《ヴァイオリン・ソナタ第1番》をお聴き頂きました。これも矢部くんとの共演です。ノクターンと比べると、抒情的でありながら、若々しく、音楽としても分かりやすい作品ではないかと思います。いろいろな作品をお聴き頂きましたが、いかがでしたか?


【オンエア楽曲】
♪M1 フォーレ《夢のあとに》
 /ヴァイオリン:矢部達哉、ピアノ:横山幸雄(1997年のアルバム『エシェゾー』より)
♪M2 フォーレ《ノクターン第7番》
 /エヴァ・ポブウォッカ
♪M3 フォーレ《ヴァイオリン・ソナタ第1番》より第1楽章
 /ヴァイオリン:矢部達哉、ピアノ:横山幸雄(1997年のアルバム『エシェゾー』より)

【横山幸雄の今後の予定】
● TOKYO FM主催 横山幸雄 ベートーヴェン ジルベスター コンサート
指揮:山田和樹、横浜シンフォニエッタ
日時:12月31日 東京オペラシティコンサートホール
   開演は午後5時半〜。終演予定は、深夜0時45分(翌1月1日 0時45分)
曲目:ピアノ協奏曲(第1番〜5番「皇帝」)全曲
   ソナタ「悲愴」、「月光」、「テンペスト」、「ワルトシュタイン」、「熱情」