ON AIR REPORT オンエアレポート

10月23日 バロック音楽②

11/11/02


前回に引き続き、10月第4週目には、バロック音楽特集の2回目として、イギリスそしてフランスのバロック音楽を取り上げました。

1曲目にご紹介したのは、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685〜1759)の作品です。ヘンデルは、もとドイツ生まれなんですが、後にイギリスに帰化した作曲家です。お聴き頂いた<調子の良い鍛冶屋>はヘンデルの鍵盤音楽の中で最もよく知られている1曲で、主題と5つの変奏曲から成っています。曲のタイトルは通称で、ヘンデル自身が付けたものではありません。しかし、たしかにこの曲が持つ規則的なリズムは、いかにも鍛冶屋の叩くハンマーの音という感じで、愛称としては親しみやすくぴったりだといえるかもしれませんね。聴いてみていかがでしたか?イギリスでは当時、ダウランド(1563〜1626)やパーセル(1659〜1695)などの作曲家も活躍していましたが、やはりヘンデルが実力、知名度ともに一番に挙げられるでしょう。

続いては、フランス・バロック音楽の作曲家の中からクープランの《クラウヴサン曲集》より第5曲をお聴き頂きました。フランソワ・クープラン(1668〜1733)といえば、ドイツのバッハ一族にも匹敵する有名な音楽一族ですね。クープランの登場をもって、フランス鍵盤音楽はその頂点を迎えます。クープランの200曲以上に及ぶクラヴサン作品は後の作曲家にも大きな影響を及ぼしています。クープランは全4巻、27組曲のクラヴサン組曲を書いていますが、各組曲はバッハのような規定の舞曲を集めたものではなく、自由に組み合わされています。また中には、今回ご紹介した<神秘的なバリケード>のように、詩的なタイトルや、標題的なタイトルを持つもの、描写的な作品も多く見られます。

前回、今回と少し歴史の勉強も含め、イタリア・ドイツ・イギリス・フランスと各国のバロック音楽の代表的な作品をご紹介してきましたが、いかがでしたか? バロックの後期になると、次の時代の古典派音楽の息吹が見られます。さらにロマン派に入ると、ドビュッシーの《ラモー賛》、ラヴェルの《クープランの墓》など後世の作曲家たちがバロック期の音楽に関心を持ち、音楽的な特徴や形式を一部模倣するというような動きも見られるようになります。音楽の歴史も、こうして流れや広がりを追ってみると、いろいろなつながりが見えてきて面白いのではないでしょうか?バロック時代の名曲はまだまだたくさんあります。ぜひ皆さんも他の作品を探してみて下さいね。


【オンエア楽曲】
♪M1 ヘンデル 《ハープシコード組曲 第5番 ホ長調 HWV430 》より
   変奏付アリア<調子の良い鍛冶屋> /トレヴァー・ピノック
♪M2 クープラン《クラヴサン曲集第6組曲》より第5曲 <神秘的なバリケード>
   /トレヴァー・ピノック
♪M3 ドビュッシー ≪映像第1集≫より第2曲<ラモーを讃えて>
   /横山幸雄