ON AIR REPORT オンエアレポート

10月16日 バロック音楽①

11/11/02


10月の第3週、4週はバロック音楽を特集しました。「バロック音楽」とは、便宜上の区切りとして、およそ17世紀から18世紀中頃にかけての音楽を指します。なんといってもJ.S.バッハやヘンデルが代表的な作曲家として挙げられますが、それ以外にも、いろいろな音楽家が活躍していますし、国によって独自の発展を遂げています。そこで特集の1回目では、イタリアとドイツのバロック音楽を中心にご紹介しました。

1曲目にご紹介したのは、イタリア・バロックの大家、アントニオ・ヴィヴァルディ(1678〜1741)の作品で、12曲から成るヴァイオリン協奏曲集の1つ、《四季》です。この作品、正式には《和声と創意への試み》という名前なんですよ。その中の1つの作品の第1曲から第4曲にそれぞれ「春」「夏」「秋」「冬」という名称がついています。いずれも大変有名で、ヴィヴァルディを代表する作品となっています。それぞれの楽章にはソネット(詩)が付されており、その情景や雰囲気が見事に音楽で描かれています。

2曲目にご紹介したのは、イタリア・バロックの作曲家、そして器楽曲の大家として知られるスカルラッティのソナタです。このスカルラッティはバッハやヘンデルと同じ1685年生まれの、イタリアを代表する作曲家で、父親のアレッサンドロ・スカルラッティ(1660-1725)はバロック・オペラの大成に大きく貢献するなど、親子そろって有名な音楽家です。特に息子のドメニコ・スカルラッティ(1685〜1757)は器楽音楽、とくに鍵盤楽器の分野で大きな貢献を果たし、「近代的鍵盤楽器奏法の父」とも呼ばれることもあるようです。いろいろな作品を書いていますが、何と言っても550曲を越えるチェンバロのためのソナタこそ、スカルラッティの真骨頂でしょう。

そして最後は、バロック音楽を集大成させたヨハン・セバスティアン・バッハを聴いて頂きました。バッハの功績、後の時代へ与えた影響は計り知れないほど多大なものですが、なんといっても「平均律」を用いて鍵盤楽器の作品を書いたことでしょう。それまでの調律法では、音にひずみが生じない調性が限られていましたが、新しく考案された調律法、「平均律」では全ての調で演奏が可能となりました。1オクターブ(12音、長短24の調性)全ての調性を用いた作品がバッハの偉大な《平均律クラヴィーア曲集》です。


【オンエア楽曲】

♪M1 ヴィヴァルディ《四季》より<秋>、第1楽章
  /ヴァイオリン:ピーナ・カルミレッリ、イ・ムジチ合奏団
♪M2 スカルラッティ《ソナタ ホ長調 K.380》
  /チェンバロ:トレヴァー・ピノック
♪M3 J.S.バッハ《平均律クラヴィーア曲集》より第24番
  /スヴャトスラフ・リヒテル