ON AIR REPORT オンエアレポート

10月2日 ベートーヴェン①

11/10/06


10月第1週目の放送では、以前にもこの番組で取り上げた事がありますが、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの人生と音楽をご紹介しました。ベートーヴェンは、クラシック音楽史上最も有名な作曲家といえるかもしれません。名作、重要な音楽作品が多数あります。これから3回にわって、10月、11月、12月の第1週目の放送でベートーヴェンを特集していこうと思います。

今回は、特集の第1回目ということで、ベートーヴェンの比較的若いときの作品をご紹介しました。最初にお聴き頂いたのは、<悲愴ソナタ>です。ベートーヴェンの27、8歳頃の作品です。ちょうどこの頃から耳の調子が悪いということを自覚しはじめたと言われています。ベートーヴェンが自身で標題をつけた数少ない曲の一つで、「悲愴」=悲劇的なイメージを持っています。第一楽章、第三楽章と比べると、第二楽章の穏やかさが際立ち、大変美しい音楽として知られている作品です。

続いて、ベートーヴェンがまだ10代の頃から作曲に着手していた作品とし、ピアノ協奏曲第2番をご紹介しました。10代後半では書き始めていて、その後改訂を加え、最終的に出版されたのは、31歳のときです。実は、その直前に書かれたピアノ協奏曲第1番が、先に出版されたので、順番としては後に着手された作品の方が第1番となっているんですね。ショパンの協奏曲も同様に、後に書かれた作品の方が先に出版され、第1番となっています。もしかすると、作曲家は最初の作品にはどうしても慎重になってしまうんでしょうか。ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番は、先にかかれた2番と比べると、だいぶ規模も楽器編成も大きくなり、1楽章だけでも20分かかるスケールの大きな作品です。対して第2番は、非常に若々しい雰囲気を持っています。ベートーヴェンの先人にあたるハイドンやモーツァルトの音楽を継承しつつも、ベートーヴェンらしさもしっかり感じさせる作品です。ピアノ協奏曲の原点とも言える作品で、ここから大きく花開いて行くわけですね。この作品は、僕自身、大変好きな作品です!

年末には、ピアノ協奏曲を全曲、そして5大ピアノソナタを演奏しますので、お時間ある方には、ぜひ会場にいらして頂ければと思います。


【オンエア楽曲】
♪M1ベートーヴェン《ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」》より第二楽章
/横山幸雄
♪M2ベートーヴェン《ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」》より第三楽章
   /横山幸雄、ジャパン・チェンバー・オーケストラ(2005年)

【今後の予定】
●プレイエルによるショパン ピアノ独奏曲全曲演奏会 最終回
日時:10月17日(月)、午後7時〜9時
場所:石橋メモリアルホール
曲目:3つのマズルカOp.56、3つのマズルカOp.59、3つのマズルカOp.63
   晩年の3つの最後のマズルカ、幻想ポロネーズ第7番 変イ長調 Op.61
2つのノクターン Op.62、3つのワルツ Op.64、舟歌嬰ヘ長調 Op.60 他

●TOKYO FM主催 横山幸雄 ベートーヴェン ジルヴェスター コンサート
日時:12月31日 東京オペラシティコンサートホール
   開演は午後5時半〜深夜0時45分(翌1月1日 0時45分)
曲目:ピアノ協奏曲(第1番〜5番「皇帝」)全曲
   ソナタ「悲愴」、「月光」、「テンペスト」、「ワルトシュタイン」、「熱情」
共演:指揮:山田和樹、横浜シンフォニエッタ