ON AIR REPORT オンエアレポート

8月21日 フランツ・リスト特集①

11/08/23


8月第3回目の放送では、これまでにも何度が取り上げていますが、今年生誕200年を迎えたハンガリーの作曲家、フランツ・リストを特集しました。まず1曲目にご紹介したのは《超絶技巧練習曲》より<マゼッパ>。原作はリスト15歳のときにすでに書かれていますが、その後2度の改訂を経て完成されました。演奏は横山幸雄の1998年のアルバムよりお聴き頂きました。このアルバムはハンガリーのリスト協会から、国際フランツ・リスト賞レコードグランプリ最優秀賞を受賞しました。全曲を通して弾くと1時間以上かかるんですね。僕自身、CDにして以来一度も全曲をまとめて弾くことがなかったのですが、今度の9月11日の「横山幸雄 デビュー20周年記念リサイタル」で取り上げることにしました。目下、準備中です!どうなることやら・・・当日を楽しみにしていて下さい。

さてそのリストと言えば、華麗なる超絶技巧と派手な演奏スタイルで、当時の大スターでした。リストの功績は多数ありますが、その一つは「リサイタル」の創始者ということでしょう。一人の演奏家が様々な作品を暗譜で演奏する、という現在のリサイタルの原型を作ったんですね。そして膨大な数の作品をのこしています。ピアノ曲だけで実に700曲近くあります。そしてオーケストラの作品など全てあわせる1500曲以上もあります!ただこれだけの数を残した背景には、リストが「編曲の天才」だったことも大きく関係しています。ピアノ曲の約半数は編曲ものになっています。

この編曲というジャンルについて。当時ピアノという楽器がどんどん発展していった時代ですが、オーケストラの作品やオペラ、歌曲など、遠くまで聴きに行くことが出来なくても、「楽器の王様」と言われるピアノ独奏曲に編曲したもので楽しむことが出来ました。そして編曲の天才、リストは当時まだあまり知られていなかった作曲家の作品を編曲し、自分のリサイタルでよく演奏したんですね。そうすることで、名前が売れた作曲家もいました。その一人がシューベルトです。リストはシューベルトの歌曲を多く編曲しています。今夜2曲目は、シューベルト作曲リスト編曲による<アヴェ・マリア>と原曲の歌曲を続けてお聴き頂きました。このピアノ編曲、なかなかの難曲です。リストの編曲のセンスは素晴らしいと思うのですが、これほど真っ黒な楽譜があるだろうか・・・というぐらい難しい編曲です。今度のリサイタルでも演奏する予定ですが、僕もまだ苦労しています・・・でもこのように原曲と編曲を聴き比べてみるのも面白いですね!

様々な作品をピアノ用に編曲して演奏していたリスト。でも今では以外と弾かれる機会が少ないように感じます。その理由は「難しすぎるから」ということも一つあるのではないかと思います!さて来週も引き続きリストを取り上げますので、どうぞお楽しみに♪

【オンエア楽曲】
♪M1 リスト《超絶技巧練習曲》より第4曲<マゼッパ>
   /ピアノ:横山幸雄
♪M2 シューベルト=リスト《12の歌曲集》より第12曲<アヴェ・マリア> 
   /ピアノ:アレクサンドル・ギンジン
♪M3 シューベルト<アヴェ・マリア>
   /歌(テノール):福井敬、ピアノ:横山幸雄

【今後の予定】
●横山幸雄デビュー20周年記念リサイタル
日時:9月11日、午後1時〜3時
場所:東京オペラシティコンサートホール
曲目:オール・リスト・プログラム

●ピアノ・リサイタル
日時:9月18日、午後2時〜4時
場所:大宮ソニックシティホール
曲目:ショパン:ワルツ5番、6番、スケルツォ4番、リスト:リゴレット・パラフレーズ 他

● ジルベスター・コンサート
日時:12月31日 午後5時半〜深夜0時45分(翌1月1日 0時45分)
場所:東京オペラシティコンサートホール
曲目:ピアノ協奏曲(第1番〜5番「皇帝」)全曲
   ソロ:ソナタ「悲愴」、「月光」、「テンペスト」「ワルトシュタイン」、「熱情」
共演:横浜シンフォニエッタ/指揮:山田和樹
お問い合わせ:東京FM 03−3221−0080